虹の射す日
ハコちゃんは、雨女。
友達と遊んでも雨ばかりなので、
ちゃんとした友達が出来ない。
いつも雨だから、外で走り回れないから。クラスの女子同士が一緒にいると、羨ましく見てしまいます。
ある日。親の都合で転校することになりました。クラメイトには内緒で。話したとこで、誰も悲しまないだろう。
「アマネ=ハコです。よろしくお願いします」
転校した初登校の日は、気が重い。
見つめてくる視線。興味津々な目線。でもすぐに、一人になる。だから、積極的に関わろうとは思わなかった。
外では雨が降り始めた。泣きたくなるね。
ハコちゃんは、作り笑顔の下でそう思う。
帰路にて、下駄箱で泣いてる空眺めてると、一人の女の子に声をかけられました。
「一緒に帰ろう?私、傘忘れたんだけど、入れてくれると嬉しいかな」
にこにこと、ショートカットの女の子が話しかけて来た。
そして、手を合わせてお願いしてきた。
それは、断れない。そして、誰かとお喋りできて嬉しいと思うハコちゃん。
「私、雨女だよ?」
「私、雨の世界大好き!」
「ありがとう、私ハコ」
「ミカだよ」
二人は、雨の中笑顔で帰りました。
きっと今だけ。すぐに雨ばかりで嫌になる。
でも、その間だけでもお話し、出来ることは嬉しいとも思うハコちゃんは、雨が強くならないでほしいとも思うけど、天候はそんなこと気にせずに、降り続ける。傘を叩く雨音が強くなるたび、一人ぼっちが近づいているようで、憂鬱になる。
それを知ってか知らずか、自分のことを話すミカちゃんは、ただただ友達が出来て嬉しいので、上機嫌で話す。
「……止めて」
「え?」
「止めてよ」
「なにが?」
首をかしげるミカちゃん。ハコちゃんは、辛そうに言う。
「こんな風に話してくれるのは、最初だけ!またすぐに私は、独りになる!」
過去のことが、思い出される。馬鹿にされたりはしなかったが、うんざりするようなクラメイトの視線。
中には、声をかけてくれる子もいたが、距離を縮めなかった。嫌われて傷つくなら、近寄らなければいい。
そうやって来たハコちゃんは、またそうしようと叫んだのに。この子とお喋りするたび、私と話せて楽しいと分かるたび、胸が苦しくなるから。
「ならない、ならない。見て!」
そこは、枯れた花畑。三日前に来た時には、花は元気がなかった。
でも、今はきれいなピンクの花を沢山咲かせている。
「…きれい」
「でしょー!ここの花はね。水分を他の花より倍必要なの。だから、雨季にしか、咲いてるとこ見られないんだよー!でも、ハコちゃんのお陰で咲いてるの見れた!ありがとう!」
「…礼なんて」
「ううん。花がね、そう言ってる」
「ええ!?」
花が喋るのだろうか?この子は、光の巫女と自己紹介してたから、分かるのだろうかと、ハコちゃんは考える。
「なんとなくどけどー!」
「なにそれー」
二人で、くすくす笑ってしまう。
「でも、雨を必要としてくれる人は、たくさんいるはずだよ!」
この子は、前向きだなと思っていたら、雨は止んで虹が射す。
まるで、空が微笑んでくれてるようだ。
明るくは無理かも知れない。でも、暗いまま日々を過ごすのは、もったいないと思える一日だった。
「ミカちゃん、ありがとう」
「え?なにが?」
「ううん。これからよろしくね」
「うん、よろしくだよー」
次第に雨は止み、虹がきらめく。一歩踏み出せば、うつ向いていたあの子を笑顔に出来るかも知れないね。
こうして、ハコちゃんに友達が出来た。
光の巫女と愉快な仲間たち~時々転生者~より




