かき氷
「あつがナツいねー」
なに?親父ギャグ?この暑い中に、そんなこと言われても、暑いものは暑いのだ。父は、なに言ってんだか。
冷房は壊れていて、修理も来ない。扇風機じゃ、十代の情熱も冷めないので、サンダルつっかけて、外へ出ると、暑い。蝉もやかましい。
都会の暑さは分からないけど、田舎の暑さは、カラッと来る。
ママチャリをこいで、近所のかき氷屋さんへ。
着いてみてげんなり。いつもならね。
凄い行列なんだもん。並んでるだけで、倒れちまうぜ。
しかし、地元の特権。お店の子と私は同級生なのだ。昨日の夜には、連絡して予約しといてもらってある。
お店の裏口に回り、小粋にノックすると、めんどくさそうな返事と共に、戸が開く。
「はい」
「やっほー、氷くん。いつものあるー?」
「お前、たまには並んで買えよなー」
「またまたー、私のために、せっせと取っといてくれたくせにー」
「………」
「わ、わ、冗談だって!」
戸を無言で閉めようとしたので、慌てて足を差し入れて阻止する。
冗談が通じないんだから、この氷結男!
料金を払い、にこやかに手を振ると、冷たくあしらわれた。
あんなんでも、イケメンだから人気がある。
ツンツンされた~いと言う女子の多いこと。
でも、他の女子には優しんだよねー。私に、ツンツンするな。
早速、袋からかき氷を出して、瞳をきらきらさせるも、おやと、思う。
何気無く見た列の中に、ペンギンがいたのだ。ペンギンだよ?ペンペン様!
暑さに耐えて、でも、ぜえぜえしてる。
私は、恐る恐る声をかけると、首をかしげる。言葉、通じないのかなー?
「どこから来たのー?」
「ペン」
ペンだって。かわいー。インスタ映えしそー。
「写真取っていいですかー?」
おや。首を振られた。駄目かー。かわいいのにな。でも、ペンペン様を尊重せねば。あ、そうだ。
「もしよければ、かき氷譲りますよー?」
にひっと笑いながら言うと、こくこく頷かれた。食いついたかね?
日陰に移動して、かき氷を渡すと、2ショットの写真を取らせてもらいました。かき氷を渡すと、なぜか手持ちのチョークで、床にカキカキ。
『人気店のかき氷を食べてみたかった、ありがとう子猫ちゃん』
こ、子猫ちゃんはいいとして、よかったねー、食べれて。
実にうまそうに食べてる。ま、私はまた並べばいーか。
『このお礼は、またいずれ』
ペンペンは、何度もペコペコ頭を下げて、帰って言ったよ。
お礼はいいけど、私にしては良いことしたので、帰るとしますか。
立ち上がり、大きく伸びをしたとこで、声をかけられた。
「ほれ」
「え?」
氷くんが、新しいかき氷を渡してくれた?
「私に、惚れてる?」
「いや、違う。さっきの見てた」
そっぽを向いてそう言うと、家の中へ入っていった。優しい奴め。てか、冷静に否定すんなよー。




