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歌
都会の雑踏の中で立ち止まる。通行人とぶつかり、軽く舌打ちされる。
頭を下げながら、空しいと思う。
残業の毎日で、仕事に疲れた。
夢も叶わず、立ち止まり見上げた夜空は、星すら見えなくて。
あの頃は、夢を目指して頑張っていた。友達も沢山いた。
しかし、夢を諦めて、普通に働いて。でも、自分を生きてる気がしなかった。
よろよろと歩き出すとふと、歌声が聴こえた。駅前で、ギターを弾いて一人の少女が演奏して、歌っていた。
不思議と君の演奏は心に染みて、明日も頑張ろうと思えた。
「お兄さん、一緒に頑張ろう」
君はにっこり笑い僕も微笑む。
その少女は、数年後テレビに出ていた。
僕は、君の曲をスマホで聴きながら、今日も会社に通う。
都会は疲れている。僕も疲れているけど、君の曲で、今日も歩ける。
都会の冷たい風に抗える。




