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図書室にて
図書室でいつも、君を見かける。
背筋がピンと伸びて、本を読む姿が美しいんだ。
「いつも、なに読んでるの?」
「これかな」
君は、静かに微笑んで本を見せてくれた。詩集だった。
「本がすきなんだね」
「でもね?」
「………でも、ホントはあなたに、会いに来てるんだ」からかうように君が言う。
図書委員の僕は、ドキッとした。これが、初恋という奴かな。
見つめ合う二人の時間。校庭での部活の声。
このまま時が、止まってしまえばいいのにな。
でも、そんなことあるわけなくて。
「あ、あのその詩集貸してくれないかな?」
そう伝えるのが、精一杯だった。