スズと僕
「先輩!」
…………………………むにゃむにゃ。まだ眠い。起こさないでくれ。
「お~い、先輩」
ゆさゆさ。フッ!
「わっ!なんだ!?敵襲か!?」
耳を慌てて押さえる。そして、状況を確認すると、けらけらと笑い転げる後輩の女の子が。
「スズ!なんだよ、お前か?」
「だって、暇なんですもん。寝ている先輩の耳に息を吹きかけたっていあじゃないですかー」
ブーたれてる広瀬は中学の時の後輩で、何故か高校でも一緒になり、俺が所属している文芸部なんて地味な部にスズも入って来ている。
他にも部員はいるのだが、ほぼ幽霊部員で、律儀に真面目に通っているのは俺と広瀬くらいか。
「お前、こんな部に入らないでもっと他の部に入ればよかったんじゃないか?」
「え~?先輩のいじわる~。私といれて嬉しい人なんてごまんといますよ?」
「よく自分でそんなこと言えるな」
自慢気に胸を張る。その自信も頷けるほどの美人でスタイルもいい。そして、勉強もスポーツも出来る。はは。真面目に生きてるこっちが嫌になる。
「……そんな自信のあるお前でも一つだけ弱点がある」
「え?まさか、あのことを……」
「あのこと?」
「下敷きを脇の下に挟んでこすって頭の上にやっても静電気が発生しないことですか?」
「知るか!小学生か、お前は!」
「ぶー!」
ブタさんみたいにかわいく鳴いても、俺は他の男子と違う。
みんなスクールカーストの特盛り女に甘やかすからな。俺はそんなことしない。
リア充な奴ほど厳しく当たるのだ。駄目な俺だな。ひねくれてて。
「先輩、そんなことより、カラオケでも行きましょうよ~」
「……お前はなんのために文芸部入ったんだ?」
「………も、もちろん、先輩がいるからですよ?」
「え?」
こんなかわいい美少女に上目遣いで見詰められるとドキッとする。分かってやってるなこいつは。
しかし、そんな仕草に男共は、キュンとするんだろう。
「ずっと先輩のことを見てたんですよ?」
頬を赤くしてうつ向く。そして、もじもじしている。
も、もしかして。いやいやいや。こんな美少女が僕なんかを?これは、何かの間違いに違いない。
「……先輩」
つかつかと近づいてきてジッと俺を見詰める君はとても綺麗だ。
「ずっと見てたんですよ?」
「ぼ、僕も……」
「そう見てたんです……こっちのほっぺに寝あとがあります。その先輩が真面目に本を読んでいるのをね!」
そう言ってクスクスと笑いやがる!
「お、おのれ、リア充!」
俺は、慌てて自分の頬をさするがどうなっているのか分からない。翻弄されてなんだか恥ずかしい。
そして、スズはいつもこうやって僕をおちょくるんだ。だから、意識してしまうのかもしれない。
スズとはこんな会話ばかりしている。だから、学校に来ているのかもしれない。
そんなこと、絶対に口にしないけど。
「それにしても、今日は二人きりだから、カップルの密会みたいですね」
「恥ずかしげもなくそんなこと言うな!」
こうして俺が恥ずかしくなるのを、喜んでみているのだ。スズは。
たまには投稿します。




