見えてる?
見えてる?
啓太のクラスメイトは、見えないものが見えると言う噂なので、放課後に、声をかけた。
恐る恐る。怖いもの見たさ。いや、そんなことより、啓太は、明るくてクラスの人気者の命と話したかったのだ。
ずっと、目の端に捉えてるだけでは駄目だ。声をかけなきゃ。
昼休み。ベランダで友達の三鶴に、命のことを聞いてみた。
啓太の気持ちは、とっくにバレバレなので、返って気楽だ。口も固いし。
「あー、あいつ変わってるよなー」
「やっぱりそうか」
「よく、誰もいないのに話しかけたりしてるし」
確かに、良くあるような。奇行が目立つこともある命だが、明るくてコミュ能力が高いので、みんな、特に避けたりしないのだ。それに、ちょこまかしてかわいい。
「ま、悪い奴じゃねーし?好きなら頑張れよ!」
三鶴に背中をバンバン叩かれてむせる。
「ゴホ…ゴホッ!なにすんだよ!」
三鶴はニヤリと笑うと、手をひらひらさせて行ってしまう。
三鶴は嬉しいのだ。昔から、恋に対して臆病な啓太が、やる気を出したから。フラれたら、泣き言をきいてやろうとも思っていた。
そして、放課後。一気に騒がしくなり、友達と帰るもの。部活にいくもの。そして、啓太の気になる相手は、帰ろうとしているようだ。
家が、神社で時折手伝いをしているから、今日もそうなのだろう。
バクバクする心臓を意識しながらも、素敵な背中に声をかける。
「美恵菜、見えないものが見えるって、本当か?」
「あ、啓太くん。うん、ホントだよー」
特に隠す訳でもなく、にこりと笑うと、チラリと啓太の横を見る。
「あなたの隣に、ちんちくりんな人がいるの」
ぎょっとした。慌てて横を見るも、しかし、横には誰もいない。
なにが見えてるのか分からないけど、僕の君への想いは見えてないらしい。
「あ、あのさ」
「うん、なあに?」
にこりと笑う。かわいい。そうじゃなくて、勇気を出すことが出来るのか。
「一緒に帰らない?」
「うん、いいよ。君は、好かれやすいみたいだから、仲良くする秘訣を教えて上げるね」
なにに?と思ったが、黙っていよう。とにかく、帰る間に、告白するぞと思う啓太だった。
でも、見えないなにかが見えるなら、二人きりじゃないんだよなとも思う。
啓太は、この先の二人の関係を変えることに、かなり不安を感じていた。




