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麦わら帽子
波音を聴きながら黄昏るのは、毎年のこと。
君に、想いを馳せるから。
そんなセンチメンタルな気分に浸っていたからだろうか。
なにかが僕の視界を塞ぐ。ん?なんだ?
「?」
頭に被さったそれは、麦わら帽子で。泣きそうになった。
「すみませーん!」
友達同士かな?一人の女性がすまなそうに砂浜を駆けて来る。
「それ、私のです!」
「はい。ナイスショットだったね」
キレイな女性の笑顔に釣られて、悲しい気分が引っ込む。
「あはは、すみません」
その子は、苦笑しながら謝ると去って行った。
君も、海に来るといつも、麦わら帽子を飛ばされるという特技があったよね。
特技って言うと、君は怒るかもしれないけれどね。
「さて、墓参り行くか」
今日はお盆だから。君も僕の隣を歩いているのかな。
波音は、静かな優しさを奏でるだけ。
しかし、やたらと麦わら帽子が飛んで来て、女性と知り合う率が高いんだけど。
もしかして、君の仕業?僕はまだ、君のこと愛しているから、他の女性は無理だよ。
ばーか!
君の声が、聴こえた気がした。
君の声が、聴こえた気がした。




