ビーチバレー
静かな波音。海で たそがれていたら、クラスメイトの彩に声をかけられた。
彩も彼氏と来ていたので、合流することにした。
彩の彼氏とは、話したことがないので会釈だけする。
リア充とぼっちでは、接点がない。
彼氏の目がどこか、見下したように見えるのは気のせいではないだろう。
リア充は、すぐに僕にそういう目で見てくる。ぼっちをなめやがって。
「みんなで、ビーチバレーでもすっか?」
リア充の彼氏が、そんなことを言うので、他の友だちらしき奴等も頷く。
「優人、しょうぶしよ?」
「……ああ、いいけど」
ビーチバレーで勝負。彩と遊べるなら文句はないけど、彩の彼氏にはイラつく。
「お、やる気だねー」
弾ける君の笑顔を見てたら彩と仲の良い友だちの佑衣が、にやりと笑いかけてきた。
佑衣は、珍しくぼっちの僕にも話しかけてくる。
「私と組もうよ」
「あ、ああ」
佑衣は、小柄でピョンピョンとその場で跳ねる。
そう言えば、佑衣はスポーツ万能だから、心強い。
彩を見ると、リア充の彼氏と楽しげに。絶対負けられない。
勝負は、白熱した。僕と彩は、運動はそれほどでもないが、彩の彼氏と佑衣は、スポーツ万能なので、足手まといにならないようにするのでせいいっぱいだ。
白熱した勝負の後になんだか佑衣と仲良くなっていた。
結果負けたけど、たまにはスポーツもいいもんだ。
この片思いも吹っ切れるかもしれない。
波音が始まりを告げた。佑衣が、近寄ってきて、ペットボトルをわたしてくれた。
蓋を開けて、飲んで喉を潤す。
「真田も、結構やるね」
「どうも」
「他人行儀ー」
佑衣は、ポニーテールのゴムをほどきながら笑う。
「いや、あんま話したことないし」
「まあねー。じゃあ、これから話そ?」
ちょっと、ドキッとした。
「いいけど、ぼっちでいいのか?」
「それ、関係ないし」
佑衣は、ひまわりみたいな笑顔をする。
そうか。こんな風に笑うんだ。
「そか」
コートの方を見ると、他のクラスメイト同士がビーチバレーをしている。
「それに、真田のこと、ずっと気になってたんだー」
「………え?」
それって、もしかして。いや、まさか。
「私、孤独な人に堪らないんだー」
「おかしい人だね、時川も」
「佑衣でいいよ」
「じゃあ僕も名前でいいよ」
「ごちそうさま!」
「はい?」
「あはは。気にしないで。優人のこと、気になってたけど、彩のこと好きでしょ?」
「……分かりやすい?」
「んー?分かっちゃう?的な?」
スポーツドリンクを飲んで、あははと笑う。
なんか、こっちまで明るくなるな佑衣といると。
調子に乗りそうなので言わないけど。
「それに、チラチラ見てたでしょ?チラチラチラリズムが好きなのは分かるけど、止めた方がいいよ、キモいから」
「刺さることを、明るく言わないでくれ………でも、君も見てたってこと?」
彩を見てたことが分かるのは、佑衣も僕を見てたってことだよな。
「てへ」
てへぺろをするな。彩を見ると彼氏と楽しそうに笑ってる。
あいつのなにがいいんだか。僕が彩を見てると、佑衣につねられた。
「いてっ!なに?」
「……私のことも見ろよー」
拗ねたように、上目遣いされるのでドキッとしてしまう。
「そう言われても……」
「ま、そんな訳で連絡先交換しよー」
「どんな訳?」
ぼっちなので、スマホで連絡先を交換するのは久しぶりだ。
この夏は、君に押されるのは言う訳でもない。
そして、彩との三角関係みたいになったりすることは、この時の僕はまだ知らない。
それにしても、暑いのは夏のせいだけではない。




