昼と夜
君との帰り道。はしゃぐ子供が、脇を通りすぎる。
もう、さよならの時間だ。夢のような楽しい時間は、一瞬で過ぎてくんだな。
日が沈むオレンジの世界で、夜はうつむく。
「どうしたの?」
「もう帰らないと」
手を繋ぐ。二度と離さぬように。
「じゃあ僕も行くよ」
「暗くて寂しいところよ?」
覚悟は出来てる。僕は天下無双の天涯孤独だから、夜の夜の世界に行っても、誰も寂しがらない……ことが、寂しいけどね。
「なに言ってんの。僕がいるから明るいよ」
無邪気に笑う。冗談に言っただけなんだけど、君と手を繋ぎ、目を閉じる。
不意に視界が暗くなって、そこに広がるのは、星降る夜の世界。
「なんだ、星空の綺麗な良い世界じゃないか」
思ってたのと違った。もっと暗くて冷たい世界なのかと思った。
「でも、あなたの世界にか比べたら、ね?」
そうなのかな?よく分からない。
ぼっちでも、のんきに明るく生きてきたからな。
「気持ちの持ちようなんじゃないか?」
「そうかも。あなたを見てたら、そう思えるよ」
くすりと夜が笑う。ホントに気持ちの持ちようだよ。
それにしても、僕が来たからか、世界に明るさが広がっていくな。
「ホントだ。眩しいくらいの明るさ!」
私の住む夜の世界は闇の世界だけど、あなたの明るさで、光が広がっていく。
夜の世界にも、朝が来て昼の世界の光を妬む人はいなくなったんだ。
あの日、黄昏時の僅かな時間に昼の世界と夜の世界が繋がり、僕と君が出会った。一目惚れだった。
違う世界の二人が上手くやれるのか分からないけど、ずっと一緒にいたいと思ったんだ。
映画を見たり、遊園地行ったり、陽の光りをめずらしがる君に、昼の海を見せたら、びっくりしてた。
全てが、輝いて見えて、そして、私たちは結ばれたけど、別れは近い。
昼と夜の世界の境界が、ズレ始めたのだ。
どんな物語だよって、愚痴った。
だから、驚いた。あなたが来てくれるなんて。
「どうして、こんなに明るい世界に変わるの?」
私の問いに、昼の答えは、可笑しかった。
「永久電球なんだ」
なんだそれ?昼の世界の新しい電球らしいけど、今いちピント来なくて、それが可笑しくて笑ってしまった。
ホントのことは、はぐらかされたけどね。
でも、昼のおかげで、いつも、うつ向いていた私も、今では笑顔が増えたねと言われる。
近所の人にも、あなたにもね。
あなたが言うように、気持ちの持ちようだよね。




