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さよなら
屋上に呼び出した君は、泣いていた。
笑いながら無理をして。
いつも笑顔だから、情けないけど、びっくりして慌てる。
「ど、どうしたの!?」
「どうも、しないの。ただ、月に返る時が来たの」
「は?」
「私は、あの時助けてもらったうさぎなの」
「は?」
「うっそーん」
君は、泣きながら冗談、冗談と笑う。
いやあの、泣いてるから、
そして君は、僕に近づくとハグしてきたので、びっくりした。
君の髪の毛が、首筋に当たってくすぐったいんだけど。
「私、君のことが好きだったんだー!」
屋上に吹く、強い風に君の想いは、乗せられて飛んでいく。
「……あの、これってセクハラだよ」
「はぁ?発言変かよー!」
君は、ケラケラ笑いながら僕を強く抱きしめるので、そっと続けた。
「後、僕も君のこと好きだよ」
「そっち!そっちが、先だろー!」
君の泣き笑いに戸惑うけど、返事はちゃんとしないとね。
その数日後、君は転校していった。
泣かなくてもいいのに。僕は休みのたびに、会いに行くんだから。
その日から、バイトが増えたのは、言うまでもない。
スマホがあるから、声は聴こえるけどはやく君に逢いたい。




