決着
怪奇たちはオリジナルの怪奇を残して合体し、変強の拳を受け止め、そのまま消滅した。
「オッ、なるほど…分身を肉壁としたのか。なかなかエグいことするな怪奇。」
そう言いながら変強は怪奇のいた場所に顔を向けるとその姿がなかった。
(気を取られてる隙に隠れたんだな。コソコソするのは嫌いだ。)
変強がそう思ってると肩に手が降りてきた。
「上か!!」
顔を上に向け、叫んだ。
「遅いッ!!」
怪奇は一喝し、そのまま回転しながら地面に変強をぶつけようとしたが、途中で変強は抜け出し殴りかかってきた。怪奇はもう能力を使う余裕は無くなり、壮絶な空中での殴り合いとなった。変強の拳が怪奇の横腹をえぐり、血肉を撒き散らした。お返しだ。と言わんばかりに怪奇も変強の腹を全力で殴り返した。変強も内臓を撒き散らしながら怪奇に殴り返した。その風景は遠くで見ている霊夢たちにとって、とても赤い花火のようだった。変強は殴り、殴られている最中、怪奇に話しかけた。
「なぁ…怪奇…お前は成長したんだなって思ったよ…昔はあんなに無感情で姉である私にも感情を見せなかったのに今ではお前はこんなにも楽しそうな顔をしている…嬉しいよ…姉として…」
変強は昔と今の怪奇を重ね、涙を流しながら怪奇にそう言った。
「いや…こんなにも感情を出してくれたのは変強のおかげだよ。あなたが必死に私に追いつこうとしている時に私は初めて焦りを感じたの…そこからだんだんと感情を出せるようになって…ここに来た時にはもう親友と言える人もできたんだ…ありがとう…お姉ちゃん!」
怪奇は変強に対して感謝を込めて、人生で初めて「お姉ちゃん」と呼んだ。
その言葉に変強は拳を止めてしまい、怪奇の拳を何度も何度も身体に喰らった。そのまま彼は地面に落下していったが、その時の顔はとても幸せそうな顔だった。
「お姉ちゃん…」
ゆっくりと着地した怪奇は変強に向かって呼びかけた。
「フッ…負けたよ。やっぱり怪奇は強い!けれど、それと同時に怪奇の成長を見れて嬉しいよ。」
変強は微笑みを浮かべ、怪奇と握手した。
「怪奇ー!大丈夫ー?その男に酷いことされてたけど?」
霊夢が怪奇たちのもとにやってきた。
「あっ!霊夢さん!私は大丈夫ですよ!お姉ちゃん終盤以外は手加減してくれてたので」
「ちょっと!あんたねぇ!人里をあんなに荒らしてその次には妖怪の山の周りの山の一つを壊しといてそんなに楽しかったの?」
霊夢は顔をしかめながら、変強に向かって怒鳴った。
「あらあら〜」
どこからか声が聞こえ、霊夢たちは辺りを見渡すと空間にできたスキマから紫が出てきた。
「その人は悪くないわよ。この人は手荒すぎるけどこの怪奇ちゃんと戦うついでに結界の様子をみてくれたのよ〜。けどちょっとやりすぎよ、変強。」
紫は霊夢に向かって優しく説明してくれたが最後の一言は声が少し低くなり、変強を怒るような目で見下ろして発言した。
「はい…申し訳ないです…」
変強は頭を下げ、紫に謝罪した。
「なぁ、怪奇。なんで変強のことを女の呼び方してるんだ?どこからどうみても男だろ?」
魔理沙が疑問の声を上げた。
「私のお姉ちゃん、変強は男女に性別を変えることができるんです。」
「そうだ。これが戦闘形態で、普段はこうッ!」
そう言いながら変強は首に指を刺し、そして抜いた。
その時、変強の体が少し小さくなり、筋骨隆々だった体はだんだんと萎んでいき逆に胸は大きくなっていき、完全な女性の体になった。顔も般若のような顔からとても美しいが目つきは悪い顔に変わった。逆立っていた髪の毛は普通の髪の毛になり、とてもさっきの凶暴な猛獣のような男とは思えない美人に変わった。
「だろ?普段は女性でこんな感じだ。なかなか便利な能力だよ。」
「ね?すごいでしょ!?私のお姉ちゃん!」
霊夢と魔理沙は呆気にとられ、変強と怪奇を見つめることしかできなかった。
けれど霊夢と魔理沙は先程の命のやり取りをしてるような顔だった怪奇と凶暴だった変強が今では仲良しな姉妹となり、微笑ましいものを見ているようになり、笑顔になった。
その後…
「よっと…すいません。さっきは家を壊してしまって。一応治しておきましたがまた何かおかしいところが有ればまた言いに来て下さい。」
変強は頭を下げ、その場を去った。その変強の背中を見ながら家の住人は思ったことを口に出した。
「まともな人だったッ!!!」




