恐る恐るの突入
目の前の巨大城を目にして怪奇たちは状況が把握できず、身動きが取れなかった。最初に行動したのは紫苑だった。
「なんだろ?幻想郷の中でこんなところあったかな?」
そう言いながら巨大城の方へ向かう彼女を霊夢が止めた。
「うーん…ここは城以外は何にもない空間っぽいな。どうする?このまま突っ立っていても何か起こるわけでもないしィ…行くか?」
変強が辺りを見渡しながらそう言った。
「そうねぇ…確かに変強の言う通りだわ…わかった。少々無謀な気がするけどあの城に行きましょう。」
霊夢たちは石でできた通路を歩いて周りを観察した。
「どうやらここには人間ではない客もいるそうですね。」
怪奇たちは仮面を被った異様に細い体をしている得体の知れない客人を見て霊夢に言った。
他にも四つん這いの仮面客人、腕が何本も生えている仮面客人などもいた。
長い石の通路を歩き終え、城の入り口に入ろうとした時、声をかけられた。
「お客さんお客さん!ここでは靴を脱がないと!」
おそらく受付嬢であろう美人な女性が受付窓から顔を覗かしていた。
「え?靴箱らしき場所は無かったけど…」
怪奇は周りを見て見るがやはり靴箱は無い。
「あ!もしかしてお客さん初めてだね?じゃあ教えないとね!」
受付嬢は横の壁?いや、扉から出てきて指で壁をトントンとつついた。
「え?そこなの?」
霊夢が驚きの声を上げた。
「そう!ちょっと離れてて…ここを奥に向かって押すと…ほい!」
さっきまで壁だった場所が横に一回転し、靴箱が現れた。怪奇はブーツを脱ぎその靴箱に入れた。怪奇に続いて霊夢、変強も入れた。
「よーし、入れたね?驚いたろう?ここはなんでもありの城さ。他にもこんな仕組みは色々あるけどそん時は誰かに聞きな。んじゃあ後は自由にしていいよー。あでもイカサマはしないでね。」
受付嬢は笑顔で手を振り、靴箱を閉め、先程の扉に戻っていった。
「どうする?とりあえず行こうか?」
変強が後ろを親指で指し、怪奇に聞いた。
「うん…行こうか…」
怪奇はそう言い、霊夢の方に顔を向けると彼女は頷き、私たちは足を揃え、城の奥へと向かっていった。
このままウロウロしていても無駄だと霊夢は思い、どこか適当な部屋の襖を開けた。開けた途端紫苑が黄色い声を出した。
「うわ〜双六だぁ!久しぶりに見たぁ!」
双六の道具を見て彼女は目を輝かせた。
「ふーん…江戸時代で熱中していた奴だな。確かに久しぶりだ。知ってるか?怪奇?」
霊夢は(何歳なのよこいつら…?)と思いながら双六の道具を見ているとその近くにいた客に声をかけられた。
「これ、お嬢さん…こっちと一勝負しないか?対戦相手がいなくてな…」
仮面で少々聞きづらいが内容はわかった怪奇は
「ねぇ…誰が行く?」と聞いた。その発言に変強が手を上げた。
「ちょうどいい…久しぶりに見てやりたくなった…」
「いいねぇ…あぁ、そういえば金は持ってるのかい?」
「金?金がいるのか?」
変強は素っ頓狂な声を出した。
「あぁ!もちろん。持ってないのか?この城のルールを知らないってことは…初めてか!仕方ない…分けてやる。」
そう言いながら仮面の客は懐から帯が巻かれた札束を2つ出した。
「これで2000万ってとこかな。んじゃ説明を…ここではあんたらが元々いた世界での通貨は使わない。ここで作られている通貨を使うんだ。例えばこの札束は一枚で十万の価値がある…。これを賭け金にするんだ。そして儲け、食べもんを買ったりするわけよ。簡単だろ?ワシは今日大勝ちしたからな。だからそれを分けられるほどの余裕が出来たんだよ。んじゃしようか」
仮面の客は奥に進み、双六の道具を前にして座った。
変強もその客と対面するように座った。
「ルールは知っとるな?これ、そこの青髪のお嬢さん、その器を貸してくれ…」
紫苑は言われた通りに差し出すと、客は金を出した懐からサイコロを出してきた。そしてその器に投げ入れた。投げ入れられたサイコロは2を出した。客は客側の方に並べられていた白の石を二マス動かした。変強は無言でサイコロを振り、五マス黒の石を動かした。しばらくその繰り返しをすると最終的に変強が勝利した。
「負けたわ…ワシの負けだ…アンタにほれ、100万だ。やるのぉ…楽しかったぞい…そういえば上でレアな丁半しているらしいぞ?やってみたらどうじゃ?」
「喜んでやらせてもらうぜ…ジジイ…上に行くぞ。」
変強はそう言いながら階段を上り、上に向かっていった。霊夢たちはそれを追いかけて上に行った。




