送り届けた孤児院で
アネルちゃんとナーバルくん、エルと私は孤児院へと続く道を歩き、ようやく孤児院の建物が見えてきた。
敷地の出入り口には院長がほぼ無表情で待っていた。まぁあの表情は通常だけどね。
「……レイヴン君」
「アネルちゃんとナーバルくん、無事に見つけました」
私を見つけた院長は一瞬眉間にシワが寄った。
院長が私の名前を呟いたことはスルーして、2人を見つけたことを報告すると、付いてきていたアネルちゃんとナーバルくんは院長に向かって走っていく。
アネルちゃんに抱かれていたミキオはその場にて落とされたが、ミキオはちゃんと着地していた。
「いんちょっ!」
「いんちょー!」
2人はそのまま院長に抱きついた。
「……よく無事で帰ってきましたね」
「ごめんなさい……」
「ごめんなざい……」
「しばらくは敷地内だけで遊ぶこと。自分達がどれだけ皆に心配をかけたのかを自覚するように」
「「はい……」」
心配の言葉をかけたすぐ後に2人に、遊ぶ範囲の制限をいい付けた。
「レイヴン君。今回は助かりました」
「いえ」
「ですが、どうやって見つけたのかを知りたいところ。通常子供が帰ってこず、目ぼしい所にもいなかった場合に見つかるまでは早くても2日はかかり、それが数時間ともなればどんな手を使ったのか……」
お礼だけして終わってくれたら良かったが、院長はどうやって見つけ出したのかを聞いてきた。
イズミの協力で探し出せたことは言えない。
私は記憶の中にある森の状況を思い出して、話を作る。
院長と話をすると回りからは丁寧な口喧嘩だと思われているらしいと、孤児院の職員さんに聞いた。
「……森を探してなかったと思い探した際、エル達がいた森で魔法を使ったような跡を見つけました。それに泥に子供の足跡もあり、もしかしたら森の奥に言ったのではと思い身体強化をして、痕跡を辿りました」
「そんなに魔法の使用した後は残らないでしょう。それに森に行くという発想はすぐには思い付かないのでは?」
「森の入り口近くは明るいうちなら子供達の遊び場になります。近くには必ず子供の足跡があったので。魔法の使用した跡が無くても大丈夫でした」
「暗くて見えないのでは?」
「魔法で光を作りました」
「身体強化を使っていたのでは?」
「同時に使えます」
「…その年で?」
「はい」
「相変わらず普通ではないようですね」
「それはどうも」
私は院長の質問攻めを乗り越えた。院長の中でまた私の子供らしさがなくなったと思うけど……
私と院長の会話を聞いていたアネルちゃん、ナーバルくん、エルの3人は横で気まずそうに、不安そうな顔で私達を見ていたのは分かっていた。
「おねぇちゃん、また……ケンカ?」
「け、ケンカはダメだよ!」
「うんうんっ!」
話の切れ目を見つけたエルが喧嘩なのかというと、アネルちゃんとナーバルくんがすかさず、喧嘩は駄目だと強くいう。
「喧嘩じゃないよ。ただの話し合い」
「そうですね。決して、口喧嘩などではないですね」
「ですね」
「えぇ」
「だから!ケンカはダメっ!」
どうやっても私と院長が会話をすると『喧嘩』ということになってしまう。
「…そろそろ帰ります」
「そうした方が良いでしょうね。あと数時間で日付を越えてしまいますし」
私は院長と会話をこれ以上しないように、帰ることにする。そもそも夜だし。子供が外に出歩いていい時間帯じゃない。
「それじゃあ」
「えぇ。気をつけて」
エルもアネルちゃん、ナーバルくんも別れの挨拶をし、私達は家へと帰った。
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