悪い人でない…
ニーダン副隊長……心ではニーダンと呼んでる。
ニーダンはいきなりの突風と水球に動作が止まっていたが、突風が止んだことで私達をその目にとらえた。
「いきなり攻撃とは!!容赦………ん?バルオン姉弟?」
「どうも。ニーダン副隊長」
怖いことにニーダンは腰にかけていた剣を抜こうとしていた。私とエルの顔を見つけすぐに剣からは手を離してくれた。時々会っていたから、顔を覚えていたようで良かった。
「まさか誘拐したのは君たちだったのか!!」
「違います!!私は失踪したのを見つけて連れ帰ってる最中で、エルは一緒に遊んでいたんです!!!」
「そ、そうか」
ニーダンの性格は、家に来られたあの時に味わっていたので、私は強く、はっきりと、怒りを含ませてニーダンに状況を説明した。
でもニーダンがカイルがいなくなったこと知っていたのは驚きだ。だってパイルさんがニーダンに話したってことだから。こんな性格をしているニーダンに。
パイルさんとニーダンは同郷ということで親しいらしいと、ミューカさんから後日聞いた。
「ではカイルは俺がパイルの家まで送ろう!」
「嫌だっ!!俺はミッシュとレイと一緒に帰る!!!」
ニーダンの申し出をカイルは全力で嫌がっていた。
「どうせ帰るのだから早い方がパイルも安心するだろう」
「それでもお前とは帰らない!」
「何故だ!」
「騎士のくせに怖い!」
「怖いということはそれだけ強いということだろう!」
「ちげーし!!」
「いいや違くない!!」
夜の街の一角にカイルとニーダンの怒気を含む口喧嘩が響き渡る。
さすがに五月蝿かったようで、近くの家から出てきたおばさんが、
「ケンカなら余所でやっとくれ!!!!!!」
と一言告げると家のドアをバタンと閉め帰っていった。
その声にカイルとニーダンは言葉を失っていた。ショックでではなく多分、驚きで。
おばさんのお陰で口喧嘩は止まった。
「カイル。ニーダン副隊長は悪い人じゃないから、送ってもらうだけなら無害だよ」
「……分かった」
でも、あの時のことは忘れてないからね……また睨んだら可愛いと言われるので心の内にしまっておかないと。
「それとニーダン副隊長。小さい子がニヤついた顔をしながら自分の方に向かって来た大人を、変質者と思わない子は、あまりいないと思います。将来、騎士道を教える立場になったときに、子供の気持ちが分からないと、慕われないと思います?以後、気をつけてください」
「うむ。そうだな。変質者と呼ばれるのは騎士としてはあるまじきことだな!」
あるまじき?知らない言葉を使われてしまった。
『騎士としては』『ことだな』って言ってたから多分、騎士として駄目だな的な事を言ったんだよね?
「そうですね」
とりあえず相づちをしておく。
「だんだんと喋り方がゼイラルに似てきたな!」
「そうですか。それじゃあ、カイルを無事にパイルさんの家まで送り届けてくださいね?」
「あぁ!」
「ミッシュ。また明日な。アネルとナーバルもまたな!」
「うん!またね」
「また~」
「カー、明日ねー!」
カイルとニーダンは私達にそれぞれ別れを告げると、2人並んで去っていったが、カイルはニーダンが少しでも距離をつめると嫌そうにしていた横顔が見えた。
カイル。ニーダンは意見を強く言えば分かってくれる……人、だから。
それとニーダンは何とか付いてきていた部下の兵士の人に捜索に出ている兵士への捜索解除を指示していた。
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