突然の失踪
そろそろ夕方。エルも家に帰っていることだろうと思い、ビッドに別れを切り出す。
「ビッド。そろそろ私、帰るね」
「…わかった。…また」
「うん。じゃあね」
図書館から出て家に帰った私は、エルがまだ帰っていないことを知る。
懐中時計を持たせてるから、日が沈む前には帰って来てくれると思うけど……
私はエルの帰宅を案じながら料理の下ごしらえをする。
――数時間後。日没後。
「・・・」
エルが帰ってこない。
沈んだ陽の代わりに月の明かりが空を照らし始めてる。
さすがに探さないと不味いかもしれない。
エルが帰ないとは思わなかったから……料理の下ごしらえなんかしなければよかったっ!
私は家の戸締まりをし、エルを探しに行くことにする。
エルと行き違いになった時のために、『エルを探しにいっています。もし帰ってきていたら、外に出ず私の帰りを待っていてください』という置き手紙を家中に置いておいたから見逃すことはないだろう。
「イズミ!ミキオの居場所は分かるっ?」
私は自分の影に向かってイズミに呼びかける。イズミの猫の姿が影から出てくると、
【分かんない!】
と申し訳なさそうに叫んだ。
「気配とかで探せないの?」
【ある程度近くにいるなら分かるけど遠すぎたら分かんないよー!】
「ならイズミ。近くに気配感じたら教えて」
【分かった!】
私はまずエルが遊んでくると言ったカイルくんの家へと向かい、家のドアをノックした。出てきたのはミューカさんだ。
「あっ!レイちゃんっ!」
ミューカさんの驚きの声の後の私を呼ぶ声が必死な声だったのでカイルも帰っていないのではと思い、
「ミューカさん。カイル、帰ってないんですか?」
と聞くと、
「えぇ、そうなのよ!ミシュくんは帰っている!?」
「いえ……帰ってません」
カイルも帰っていないようで、私の頭に『誘拐』の単語が過る。
「パイルも外に1度探しに行ったのだけれどいないってなってね。今、この区の管轄の兵士にカイルの写真を持って見ていないか聞きにまわってるの!」
カイルの父親であるパイルさんは1人で聞きに走っているのだろうと思うと、私もエル達を探すというやる気がさらに出る。
「私は今から孤児院に行ってみます。ミューカさんは?」
「私はガイアの事があるから探しにいけなくて……」
「そうですか……」
私はガイアくんのお世話のため探しに行けないミューカさんと別れて、仕事先でもある孤児院へと向かった。
しかしエルやカイル、そして孤児院の数人が帰っていないという更なる悲報が院長から告げられた。
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