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幕間 シンデレル・ハイサンドのとある1日


転移の魔法で最後の荷物を持って去ったレイヴンを見送った。


今日。俺はついに妹のレイヴンの家へと招かれた。



「フフフ……」

「きもいわ。やめて」



嬉しくて笑みをこぼしただけだったが、姉のジェリエッタは砕けた口調となり気味悪がられた。



「仕方ないだろう。あの警戒心が突然発生するレイヴンが、家へ来て良いと言うんだ!」



レイヴンは普通の子供よりは頭脳の発育が言いが、警戒心の使い方が時折無くなり、普通の子供のようになることがあり、そんな時はやっぱりまだ子供なんだと実感できる。それもまた嬉しく感じる。



「フフフ」

「だからきもい!それに仕事だって終わってないんだから。行きたければ早く終わられることね」



ジェリエッタはそういうと俺の家から出ていった。



「やってやるさ!」



俺はジェリエッタの後を追うようにして家を出ると理事長室に戻り、学園の実務に取りかかった。



――数時間後。



「理事長。以上が1週間の授業表です」

「分かった。ご苦労」

「では失礼します」

「あぁ」



最後の授業日程の確認をし終えると、理事長室にあるクローゼットに向かい、きっちりとした服からゆったりとしたものへと着替える。こういう時に家にあるのとは別にクローゼットを設置しておいて良かったと思う。



「ん?なんだか、甘い匂いが……香水か?」



クローゼットを開けたとき、お菓子のようなケーキのような甘い匂いがした。匂いの元を探すと2着から甘い匂いがした。



「ここに何か置いていただろうか?……!時間がなくなるな。これは後でといいだろう」



甘い匂いのついた服を外に出して置く。匂いがこもるのは避けられるだろう。





俺は時間指定で呼んでおいた馬車にジェリエッタと共に乗り込むと、野菜や調味料などを買っておく。



「奥さんが作ってくださるんで?」



買い物の途中、ジェリエッタと俺を見てそういう店主にジェリエッタが半ギレで、



「なんで愚弟に手料理を振る舞わないといけないのよ」

「い、や、す、すいません」



と店主にいい放った。店主が可哀想だ。



その後レイヴンの家のある森が見える所に馬車を止めてもらうと、荷物を持って森へと向かう。



「結構急ね」

「あぁ。革靴だとすぐに痛みそうだ」



この獣道をレイヴンとミシュエルは歩いていたんだな……



「ここから道になってるわ」

「本当だ。この先だな」



道になっているところから上に向かえばレイヴンの家が見えてきた。



「見て。ガーデニングスペースと畑があるわ」

「これもレイヴンとミシュエルが2人だけで管理してるのか」

「だと思うわ」



レイヴンの家の回りを軽く見渡した俺達は、ドアをノックした。



――コンコン。

「お兄ちゃんのシンデレル・ハイサンドだ」



出迎えはミシュエルがしてくれ、部屋へと案内された。履き物を寝るとき以外に脱ぐのはなんだか不思議な感覚だ。



「じゃあここですわって待ってて!ご飯来るまで出ないでね?トイレはしていいよ!」



本当に案内だけされて部屋に残された俺とジェリエッタ。



「とりあえず座りましょう」

「あぁ」



椅子に座って一息つこうとした時。ミシュエルが飲めるものは何かと聞いてきたので、俺とジェリエッタは水で良いと答えた。



「はい。水!じゃぁ僕おねぇちゃん手伝ってくるから!」



それだけいうとミシュエルは俺達に構うことなく、扉を閉めて出ていった。



「行動からレイヴンちゃんと一緒に居たいって伝わってくるわね」

「そうだな」



俺は水を一口のむとジェリエッタとしばらく他愛ない話をした。


話が途切れると、扉の方からカンカンカンと包丁をまな板に付ける音や食器がカチャカチャと擦れる音が聞こえた。

ふと、部屋を見渡すとクローゼットの隙間から服がはみ出ていた。俺は立ち上がり服を直そうとクローゼットを開けた。



「これは!うぐっ――」

「――ふん!」

「ぐっっ!」



クローゼットを開けた時に一瞬見たのは明らかに女の子の服や小物だった。つまりこのクローゼットはレイヴンのものなのだと理解したのは、ジェリエッタに服の襟首を後ろから引っ張られ腹に一撃をもらったあとだった。

俺は完璧に狙われた鳩尾を押さえて痛みに悶えた。



「人の部屋のものを勝手にさわるのは良くないわよ?」

「す、まなかっ た……」





ずきずきと腹に痛みを感じながらレイヴンとミシュエルの手料理を味わう。

口の中には旨味が、身体には脈打つ度に痛みが感じていたが、次第になおっていき、最後のデザートは美味しさにただただ舌鼓だった。



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