賑やかな ★
夕方。グロウス学園から魔法で運んできたエルの荷物を全て部屋に戻し終え、デザートのプリンの支度も終えたころ。
――コンコン。
「お兄ちゃんのシンデレル・ハイサンドだ」
うん。この声は間違いなくシンデレルとジェリエッタさんだけど……お兄ちゃんを付けなくても……はぁ。もう面倒だから言わせておこう。
でも、シンデレルのなりすましじゃないと分かるからすんなりとドアを開けられる。
「エル。入ってもらって」
「りょーかい!」
エルがドアへと向かいシンデレルとジェリエッタさんが家へと入ってくる。
「邪魔する」「お邪魔します」
「エル。お願いね」
「はーい!」
2人が来る前にエルには食事をする部屋…とトイレなどの場所の説明を頼んでおいたのだ。
「レイヴン。食材だ。使ってくれ。あとこっちはジェリエッタからの菓子だ」
「ありがとうございます」
お菓子は嬉しいな。
「レイヴンちゃん。私は何か手伝いますか?」
「おねぇちゃんのお手伝いは僕の!」
「すみません。では案内よろしくお願いします」
「うん!するよ!こっち!あ、くつ脱いでね?」
エルは2人を連れていくのを見送ると、私はすぐに調理を始める。
もう薪には火が付けてあるから鍋を暖めながら野菜を切って……あと裏の森の川で釣った魚はつみれにして……あとゆで卵の胡麻ソースサラダを……
「おねぇちゃん!イズミとミキオどうするの?」
「あ。う~ん。イズミとミキオは2人が帰ったあとに何か違うの出すから」
2人を部屋に置いてきたエルはイズミとミキオの食事について聞いてきたので、後でと答えておく。
「わかった!卵のカラむく?」
「その前に2人に飲み物出してきて」
「わかった~!」
エルはシンデレルとジェリエッタさんに飲み物を聞き出しに行き帰ってくると、隣に立ちほどよく冷めた卵のカラの剥いていった。さて。私も手を動かそう。
食事が完成し部屋へと運ぶため扉を明けに来ると、シンデレルが何故か床でお腹を抱えて丸まっていた。
「シンデレル。どうしたの?」
「お腹が減ったそうで、あぁしてしのいでたんです。ほら、早く椅子に座り直してください」
「分かった……」
そんなに空いていたなら何か少しだけでも先に持ってきておけば良かった。
おかずやご飯が並ぶと、いただきますと言いそうになる。そうだった。私は手のひら同士を包むようにして組むと感謝の言葉を発した。
「我ら人の糧となる恵みと命に、感謝を込めて」
「「「感謝を込めて」」」
エルも私が喋りだすと思い出したようで、シンデレルとジェリエッタさんに合わせて感謝を込めた。
「美味しいな」
「えぇ……私より……」
「でしょ!おねぇちゃんのりょうりは1番だからね」
「エル。言い過ぎ」
そうして少しの会話を混ぜながら、食事をしていたが途中、
【うまそー】
【そうね】
という声が私にだけ聞こえたので気まずくなったが、楽しい食事の時間だった。
お母さんやお父さんがいたときみたいな……
おばあちゃんがいたときみたいな……
賑やかなといえる食事は、久しぶりだった。
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