兄弟
5月最終日
子狐の影との話し合いが終わる。
エルの事は悪かったと認めた上で、どうして現れかたが突然なのかも問いただした所、絶対に通る場所で待っていて早く名前を決めてほしかったのだそうだ。
「名前ってそんなに重要なの?」
【ワタシたちにとって名前は影という生物から動物や人と認められたということなのよ】
イズミはそんなこと一言も言っていなかった。
「へぇ…なら早くエルに付けてもらわないとね」
【あの子に……なんだかまだモヤモヤするけどワタシも少し悪かったし、相手はまだ子供。仕方ないわ】
「ありがとう」
【お礼を言われるようなことじゃないけど、どうもと言っておくわ】
私と子狐はエルとイズミの側に戻った。
「エル。お待たせ」
「おかえり~!おねぇちゃん、この猫もしゃべるよ!」
「この狐も喋るよ」
どうやらこの子狐が喋ると分かってくれたようだ。……私の心に話しかける魔法を使えば他の動物とも会話できるのでは?
今度試してみよう!などと思っていると子狐から言葉が発せられた。
【狼なんですけどっ!?】
【「「えっ?!」」】
私、エル、イズミは【狼】と言われて驚く。イズミも驚いていた事にも驚いたから、私は2倍驚いたと思う。
その子狐だと思ってた子狼の体の色は、黄土色やきつね色と呼ばれる色をしている。あ、でもよく見れば尻尾とかふさふさしてるし、額に毛があるし……
「おねぇちゃん。ほんとに狐じゃないの?」
「色は狐だけど……ここと、ここが狐とは違うから、うん。狼」
私は触りながら狐とは違うかをエルに説明した。
「エル。実はこの狼と猫を家で飼うことになったの。それでね。私は猫のお世話をするから、エルには狼をお世話してほしいの」
正確には私達の監視だけど共に生活をするだろうと思ったので『飼う』とエル伝えた。隠れてならイズミは私に名前を付けられてからいなくなるはずだもんね。
【よろしくミシュエル君!オレ、イズミ!レイヴンさんに付けてもらったんだ!】
イズミはとてもドヤっとしてる。本当に名前を付けられて嬉しいんだ。
「おねぇちゃんに?」
「エルもその子狼に名前を付けてあげて」
【変な名前にしないでよ?】
「うーーん。名前……」
エルも悩みながらも名前を考えているけど、私の予想だとエルはこれまでに出た言葉から付けると思う。
「じゃあ、ミキオで!」
【ミキオ……?この国じゃ珍しい名前ね……】
「それに男の子っぽいね」
【ワタシはオスだから別に大丈夫よ。ミキオって珍しい感じでいいわ】
オスだったんだ……確かに声は低いかも?でも女の人でもこのくらいの、人いるし。あ、狼か。
【どうしてミキオなのか聞いても?】
「ミシュエルの【ミ】とキツネの【キ】とオオカミの【オ】でミキオ!」
【なんて簡単な付け方なの……って私は狐じゃないわよ!】
エルとミキオがまたケンカっぽくなっても嫌なので、エルにフォローいれる。
「キツネ色っていうのから取ったんでしょ?エル」
【・・・そうなの?】
「ウン」
【そう。なら取ってもワタシって感じて良いわね】
ミキオは納得してくれたみたいで良かった。
納得をしたミキオとイズミを交互に見たエルは宣言した。
「今日からイズミとミキオは僕とおねぇちゃんの兄妹ね!イズミが僕の弟で、ミキオが一番したの妹ね!」
「エル。ミキオはオスだって言ってたよ」
「えっ。あ、じゃあ、弟ね」
【紛らわしくて悪かったわね!】
自覚はあるんだ、と心の中で言っておく。
エルの提案を全面的に受け入れ、イズミとミキオも拒否することなく、兄弟として扱うこととなった。
イズミとミキオの2人と共に朝ごはん食べることにした。さすがにペコペコだ。
兄弟か……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




