タダンさんにつく影
イズミが私と共に走ってやって来た目的の場所の家の中からは、明かりがついて見える。つまり、家主は起きているのだ。
【い、いきなりのハードワーク……】
転移の魔法は人のいないところでしか使えないから、使うところは考えてる。
でも、猫が凄い早さで走ってる方が驚かれそう。
ボサボサになった髪を手くしで直してから、家のドアをノックした。
――コンコン。……ガチャ。
「はい……レイヴン?」
「タダンさん。昨日はありがとうございました」
私が会いに来たのはタダンさんだった。タダンさんが現れるとイズミはただの猫となり、喋らなくなった。
「どうしてここが分かったんだい?」
私とタダンさんが会うのは図書館ばかりだったから、私もタダンさんの家を知らなかった。でも理事長との事を話しておきたかったのだ。
「『タンポポちゃん』から聞きました」
「!!!」
そこで私はタダンさんの家の場所を知っていそうな后太妃様に場所を聞いてみた所知っていたので、教えてもらったのだ。
ここで后太妃様と名前を出すわけにはいかなかったので、后太妃様がおばあちゃんから呼ばれていた『タンポポちゃん』と呼んだのだ。タダンさんがこの名前を知っているかは分からなかったけど、后太妃様と何年も関わりがあったならおばあちゃんが后太妃様をどう呼んでいたのかを知っているかと思ったのだ。
結果は驚きで帰って来て知っているんだなと思った。
「中に入ってくれるかい?」
「うん」
タダンさんの家の中は落ち着いた感じの家具がいっぱいあるが、タダンさんだなって感じのする部屋だった。
「それで……その猫は」
「あぁ。この猫は監視なんです」
「監視……?あぁ、影か」
【えー!影のこと知ってるんですか!】
タダンさんが影の事を知っていたのをイズミは驚いていた。
「喋るのかい?この猫も」
「しゃべりますね、この猫は」
【影を知ってるなんて、あんた何者ですかー!】
タダンさんはイズミが喋ることを驚いていた。やっぱり、猫の姿をしてて喋ってたら驚くよね。
イズミは陛下から聞いていなかったのか、タダンさんをいかくしてる。本当は不信感で睨んでるだけかもしれないけど、猫の姿だからいかくしてるって言い方の方が、今のイズミを表せる。
【貴方。陛下から聞いていないの?】
【ふぇ?だ、誰だよ!】
タダンさんの足元辺りから声がした。イズミがビクッとして驚く。イズミの感情、コロコロ変わって後で疲れそう。
イズミの【誰だ】というのに返事をするように、タダンさんの影から黒い煙みたいなのが出てきて現れたのは――
「……タマサン?」
【レイヴンさん。お喋りするのは初めてね】
――タマサンだった。
私はイズミを表すときにタマサンを思い浮かべたけど、猫ってことだけじゃなくて【影】だって所も一緒だったなんて…
その後タマサンから話された内容は、私と同じ経緯で監視を付けられることになったタダンさんに、タマサンが付くことになった。
タマサンは先王様から監視をもうしなくていいと言われた後も、先王様のもとに帰ることはせず、タダンさんが死ぬまで側にいて最後まて監視をすると、ここにいると言ったそうだ。タマサンは仕事に対して真面目過ぎる――
【まぁ、お城に帰るよりもここの方が居心地が良かったというのが本音ですけどね】
――という訳ではなかった。
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