大人になるまで
先王様が黙っているのを不安げに見つめていると、后太妃様がソファーへと手招きしてくれている。
私は后太妃様の前まで行った。
「大丈夫ですよ。ジューデンは貴方の願いを叶えようとどんな魔法をかけるのかを考えているのですよ」
「どんな魔法をかけるのか?・・・先王様がかけた魔法を私が解けるようにするために、どんなイメージが必要なのかを……考えてくださっている?」
后太妃様の言葉から私は考えて、そう話すと后太妃様は微笑んだ。
「ふふ、その通りです」
「さすがはおじい様だ――」
どうやら当たっていたよう。
「ん……おねぇ、ちゃん?……ここ、どこ?」
「エル、おはよう」
ソファーで眠っていたエルが、いまだ眠そうではあるが起きた。
「うん……お菓子は終わっちゃったの?僕、まだ食べたかった……」
食いしん坊だなぁ……エルは。
「家に帰ったら私が作ってあげるから我慢して?」
「家に……帰ったら?」
「そう」
エルの眠そうな顔が驚きに変わる。
「僕、りょうじゃなくて、家に帰れるの?」
「そうだよ」
エルは寝起きならがしっかりとした歩みで私の前まで来ると、抱きつく。
「えへへへ」
とても嬉しそうだ。
「嬉しい?」
「うれしい!王宮に来くればかえれるってうそじゃなかったんだね!」
「嘘だと思ってたの?」
「うんん!うそじゃないと思ってた!」
エルはまた私にぎゅーっと力を入れ直して抱きついた。
「そうだ、エル。ひとつ聞いていい?」
「なに?」
私は例えエルのことを分かってても分かってなくても勝手に決めるのはやめたから。
「エルは、私が秘密って言ったこと隠せる?」
「ひみつ?う~ん……あの勇者みたいになったらしゃべっちゃう!」
エルは勇者vs魔王の絵本とは別の物語であった内容で例えた。
あれはたしか、勇者がお姫様の秘密を喋ってしまって敵が有利になってしまう話だった。
「そっか。なら今からね、秘密のことをするかもしれないんだけど、エルには秘密にしてていい?」
「秘密、いつか教えてくれる?」
「もちろん。エルが大人になったら絶対教えてあげる」
「なら今は隠してて!大人になったら聞くから!」
「ありがとう」
その後、先王様が黙っている状態から戻ってくると、エルに私が解けるとうにしたという転移の魔法の模様を描いていった。
ちなみにその模様を書いているとことはさすがに見せてくれなかったので、エルを見つめつつ后太妃様と…ロットと話をした。
その間、エルは頑張って動かないようにしていたが、私がロットと話すと凄い睨むのでその度にロットが落ち込んで面倒くさかった。
でも創造の魔法とか転移の魔法とかはバレても仕方ないかって感じだったけど、模様だけはちゃんと見せないようにするのなら、他のもきちんと管理した方がいいと思う。
ロットみたいに他の人の前で使っちゃう人がまた出てきたら、王宮に来てもらってってなるし、その人の記憶も……消さなきゃならなくなるし。そう考えると私達はおばあちゃんや后太妃様、ロットのおかげでそうしなくてすんだと思うと、運が良かったと思った。
「おねぇちゃん!終わった~!」
「お疲れ様」
「うん!」
エルの背中に模様を描き終えたみたいだ。
その後私達は先王様やロット、ゼイラルさんやジャルに別れを告げ后太妃様の部屋へと行くと持ってきてもらった元の服へと着替える。
そこから私達は、最後の話し合いをする場であるグロウス学園へと向かうことになっている。
エルの寮の件とか、私がどうなったかとかを出来る限りで話してもいいと、先王様からいいと言われている。
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