これ以上知りたくないから!★
しばらく歩くとゼイラルさんが見えた。ということはその横の扉が先王様の部屋……
「ゼイラルとジャルはここで待機していて」
「「はい」」
扉の前まで来たけどゼイラルさんとジャルは外で待っているみたい。
「ランスはエル君を背負って……」
「あ、それは私がやります」
ロットに背負わせるのはダメなので私がやると言ったが、
「でもそのドレスじゃ背負えないでしょう?」
「・・・」
確かに今はドレスのせいで無理だということを思い知る。
かといってロットに任せるのは……
「レイヴン、大丈夫だ。僕だって男だから」
「なら、部屋に入ったらすぐにエルをソファーか椅子に下ろして」
「だから大丈夫だって」
なかなか譲らないロット。もしかしてエルを背負えないかもしれないと、私がロットを心配していると思ってるの?
いや、そんなはずは……あるの?
「心配してるのはロットじゃなくて、エルだから」
「えっ?」
私の考えは当たっていたようで、ロットは驚いた顔をした。
驚いたことからロットは気づいていないようだ。気づいてたら進んで背負うなんて言わないもんね。
「ロット。気づいてないの?」
「……何が?」
これは本当に気づいてない。王家の人として人の好意も嫌悪も読み取れないとダメだよね。
「・・・ロットはエルに嫌われてるんだよ」
「!!!」
「だから起きたときにロットの背中にいるのはまずいの」
だから私ははっきりと言った。ロットはエルに嫌われていると。
ロットはみるみる悲しげな表情になり「そうか……」と呟いて完全に落ち込んでしまった。
「なら俺じゃない、私がこのまま中まで運びましょうか?」
「后太妃様、ジャルに運ばせてください」
「いいでしょう。でも、エル君を寝かせたらすぐにでも退室してください」
エルを背負っているジャルが后太妃様に中まで運ぶと言ったので、私もその方がいいというとジャルがそのまま中に運ぶことになった。
「はっ!」
后太妃様が部屋の扉をノックする。
――コンコン
「私です、ジューデンさん」
《入ってくれ》
先王様の声がし、扉が開かれた。
――ガチャ。
「それでは失礼します」
ジャルは部屋に入るとソファーを探し素早くエルを寝そべらせると部屋から出ていった。
先王様は机の前の椅子に座っておられた。髪の色はロットより少し薄いけど金髪だというのが分かる。
「ジューデンさん。転移の魔法、レイヴンちゃんとエル君に授けられそうですか?」
「うむ。すでに整えてある」
「えっ?」
「どうかしたのか?」
「あ、いえ……」
何で先王様が知っているのだろう?ゼイラルさんが知らせたのかな?と先王様が花園での話を知っていることに疑問をしてしまった。
そう、してしまったのだ。
「おばあ様……レイヴンは――」
「ちょっと待って!ロット!その先は言わないで!」
私の疑問した顔をロットが読み取ってしまい、何かの説明を喋ろうとしたのを必死に止めた。何かとても大事なことを喋ろうとしてると私の何かが告げたのだ。
「……どうかして?」
「ロット。これ以上勝手に秘密を私に漏らさないで」
「えっ」
ロットは秘密という言葉に反応をした。それも、『そういえばこれは秘密だった……』と言いたげな表情で。
「ランスロット。彼女の言うことは一理ある。彼女は既に王家、王族しか知らぬことを2つも知っている。ランスロットが今言おうとしたであろうことは、転移の魔法と同じくらいの秘密だ」
「そうね。これ以上はレイヴンちゃんに王家に嫁いでもらわないといけなくなってしまうわ」
ロットが何を言おうとしたのかを先王様も分かっていたようで、止めてくれたが、后太妃様はとても怖いことを言っていたので聞かなかったことにする。
「ごめんなさい。おじい様、おばあ様」
「君も悪かったね」
「はい……いえ」
動揺してして『はい』と言ってしまいすぐに言い直したが、はっきりと『はい』と言ってしまったのでもう遅かった。
「素直なのはいいことだ」
「すみません……」
先王様やここにいる人以外の他の人だったら、危機だったかもしれない。
「では、君とそこの寝ている弟君に転移の魔法を授けることとする」
「っはい」
先王様の言葉に部屋の中が緊張感に包まれた。
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