花園の中で
連れてこられたのは、花園だった。
その真ん中の白いテーブルと椅子に座っていたのは、先程別れたはずの陛下、王妃様、后太妃様、そしてロットだった。
「レイヴンちゃんエル君!こちらよ」
后太妃様が片手を招くようにして私達を呼んだ。
それにエルは、
「お――むぐっ」
『おばちゃん』と答えようとしたのを止めた。危なかった……
私はエルと手を繋いでテーブルの方へと向かうが、どうすれば……
「あぁ、レイヴン嬢。楽にしてくれ。堅苦しいのは嫌いなんだ」
「ふふ、謁見の間と会議でしか『貴殿』なんて使わないものね」
陛下がそういうと王妃様が微笑みながら陛下の事を話した。
「さぁ、座ってくれ」
「エル君。おばちゃんの隣へどうぞ。」
「うん!」
「レイヴンちゃんもランスの隣へどうぞ」
「…はい」
エルは后太妃様から、私は王妃様から開いている椅子に座るように言われ、従った。
「こちらの事情でわざわざ移動させ悪かった」
「いえ」
「そうか」
「おばちゃん、このお菓子食べていい?」
「えぇ、どうぞ」
「わーい」
私が陛下に謝られてしまっているときに、エルは美味しそうなお菓子に夢中だった。
「まぁ、后太妃様を『おばちゃん』なんて呼び方をするなんて!」
「あ」
しまったと焦るが、王妃様の次の言葉で焦りが驚きに変わる。
「羨ましいわ。私も『お義母さん』とお呼びしたいのだけれど……」
「貴方を認めたのは王妃としてであって、義娘としては認めていません」
「いつになったら認めてくださるの?」
「貴方の『過度なおせっかい』が直ったらです」
「おせっかいだなんて!私はただ子供達にも好きな人が出来たらと思って――」
后太妃様と王妃様が口喧嘩を始めてしまった……他の人達の反応を見ると、陛下とロットは呆れたように、後ろのゼイラルさんやジャル、メイドさん執事さんは何事もないように、エルはお菓子に夢中で気にしている様子はない。
止めるものがいないため、2人の口喧嘩は続く。
「そのためにまだ王子や姫が、好きかもわからない子達を呼んで王子や姫が困惑しているといつも言っているのに」
「それは照れ隠しですわよ!」
「ランス。貴方、照れ隠ししてますか?」
「いえ。困っています」
「それは好きな子がいるからで――」
「リリーナ、母上。やめないか」
呆れたようにしていた陛下が私達がいることを思い出したようにしてから、后太妃様と王妃様を言葉で止めに入った。
「あ……ごめんなさいね。レイヴンちゃん、エル君」
「私もすみませんでした」
「いえ……」
何故こんなにも王族の人達に謝られなきゃいけないの……
謝られる度に、王族に謝らせているこちらが申し訳なくなってくるからやめてほしい!
「おねぇちゃん、これおいしいよ!」
「……そうなの?」
「うん!」
気まずくなりかけた雰囲気をお菓子からこちらを気にかけたエルが晴らしてくれた。が、
「それは王家専属のパティシエが作ったものだからね」
「おねぇちゃんの作るのも美味しいから」
「……そうか」
「そうだよ」
ロットがエルの言葉に乗るとエルは不機嫌になって言葉を返した。……何故ロットがここまで嫌われているのかが、本当に分からない。
「エル。言い方」
「うー!だって、きんぱつが!……王様もきんぱつ……」
「はははっ、それはそうだ。ランスロットの父だからな」
それから少しだけ話をしてから、私達は先程の事を話そうということになった。
エルは陛下から名前を呼ぶことを許され陛下を『アレクスおにちゃん』と、王妃様もそれに習ってしまって『リリーナおねちゃん』呼び、后太妃様にいたっては愛称で『リアおばちゃん』と呼ぶことになってしまった。
王家を虜にするエルが恐ろしい……
私も名前で呼ぶように言われたが強制ではなかったから言わなかった。
それと、エルがロットを呼ぶ際はきんぱつのままである。きんぱつ以外で呼ぶ気はないようだ。
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