2つめの秘密
エルの放った水の魔法が私に――当たることはなかった。
「水よ!放つ!!」
――バシャッバシャッ!!!!
水同士がぶつかってその場で崩れて床がびっしゃりとなる。
「っー!風よ!まきおこれ!」
「風よ!風に向かえ!」
――フォンッフォンッ!!!
エルは魔法をまた使うが、ぶつかり合ってその場で崩れると、風で小物が揺れ動いたものが床に落ちる。
「おねぇちゃんあたってよ!水出て!!」
「嫌よ!水よ!放つ!」
エルはその後も魔力が尽きかけるまで魔法を使い続けた。
その間ジャルも理事長も、あとから来たジェリエッタさんも止めなかったから、理事長室は水浸しで小物が散乱してる。
「はぁはぁはぁ……」
「・・・エル。何がしたかったの?」
「…おねぇちゃんを、怒ってもいいって。ケンカしてきもちをはきだせ?って、きんぱつが……」
「きんぱつ?」
何故いきなり魔法を使ったのかと聞くと、『きんぱつ』という言葉が出てきた。いままでエルと一緒に暮らしていたが、エルの知り合いには金髪の子はいなかったはず。……エルの知り合いにはは?と言うことは……
「王子のことだな」
ジャルが先に答えてしまったが、エルと最近会った『きんぱつ』はロットしかいない……ロット。エルに何を言ったの……!私は少しだけ、ほんの少しだけ!!ロットに怒りを感じた。
「でも、おねぇちゃんと、ケンカなんてしたことないって言ったら、しょうぶしたらって。でも、かてるのまほう、ならって……うぅ……」
最後の方からエルは泣き出してしまった。
「おねぇちゃぁぁぁん」
「エル…」
エルは私の所まで来ると抱きついて、そのまま私の服を涙などで濡らした。
「僕は、ぼくはいらなかったの!?おねぇちゃん、ぼくのこと、きらいになったの!?ぼくは、わるいこだったの!?うぁぁぁんん」
エルが悪い子な訳がない!むしろ私の方が……
「そんなことないよ。ごめんねエル。おねぇちゃん、エルは学園に入った方が言いと思って、エルもおねぇちゃんも1人でいることにもなれないとって……」
「ひとりはいやぁ!おねぇちゃんとずっといっしょがいいの!」
ずっとか……出来れば私もそうしたいけど……
「……ずっとは無理だよ。エルにお嫁さんが出来たら出ていっちゃうし私に――」
「およめさんにもおばあちゃんの家に住んでもらう!!」
確かに。でも、私にだってお婿さんが出来たらさすがに狭いし……それに、少しはおねぇちゃん離れもしてくれないと……私もエル離れ出来ない。
「レイヴン」
「理事長……」
「これから、王宮に行くんだろ?だったら、陛下にお願いをすればいい」
「お願い?」
エルの言葉に悩んでいると、理事長が陛下にお願いをすればいいという。
「秘密を黙っている代わりに、転移の魔法を授けてくれと」
「なっ!!」
「シンデレル。それは――いい考えだわ」
「だろ?」
「えぇ」
「ちょっと待て!何でそんなことまで知ってやがる!」
「「お爺様から聞いた」」
「マジかよ……秘密をベラベラと……」
「大丈夫ですよ。私達が知っていることを陛下はご存じですから」
理事長、ジェリエッタさん、ジャルの3人は『転移の魔法』というものについて喋っているようだが、それもまた秘密のことみたいで私は今日だけで王家の秘密を2つも知ってしまったと、頭が少し疲れを感じた気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




