飛んで来る水の球
落ち着いてきた私は、王家の秘密について知ってしまったもう1人についてジャルに聞いた。
「行くけど……そのエルは?」
「弟君もだ。嬢ちゃんが知ってても知らなくても、弟君が知ったのは本当だからな」
「・・・」
「あー、喧嘩中だったか?」
「喧嘩じゃない!」
エルも来ると知って黙った私に、学園でロットの護衛としてそばにいたであろうジャルが、私とエルが喧嘩中だと言ったことに私はすぐに否定した。
「あれは、私が、ちゃんと言わなかったから、いけないの」
「事情は学園の理事長から聞いたが、やっぱ言い忘れじゃなかったんだな」
「…うん」
「まぁ、話し合いはちゃんとしろよ?」
「分かってる!!」
ジャルに言われずともすでに話し合いをちゃんとすると思ってたから!!
「なら、行くか」
「住まいに?」
「いや、学園の方だ。嬢ちゃんが知ってたらすぐにでもつれて、弟君と一緒に連れてくんだと」
「今から?」
「あぁ」
今から学園に向かうとしても、エルに会うとしてもまずやらなきゃいけないことがある。
「仕事があるんだけど……」
「まだ働いてたのか?」
「そうだけど?お金はあっても困らないし」
「……子供の癖になんつー考えだよ」
「子供でも生活はあるからね!」
働かないで生活できるのは、病気の人か貴族とかお金を持っている人だけだし。
「はぁ。なら、仕事先に行けねーって言ってこい。俺は――」
「後をつけるの?」
「一緒にいったら迷惑なんだと思ったんだが!?」
うん。確かに迷惑。ジャルの今の姿は綺麗な服に剣を腰にかけているから。そんな人と一緒に歩いてたら、何かしたのかって思われちゃう。今いる場所も今は人が少なくて良かった。
「うん。おきづかいありがとうございます。ジャルさん」
「っ!やめてくれ!いつもの感じでいい!!」
「じゃ、言ってくるからストーカーしててね」
「それもやめろ!!!」
ジャルで遊んでから仕事先に今から用事が出来て出来ないことを伝えると、「実は……」と仕事事態がなくなって私に頼んだことをどうするかと思っていたそうだ。タイミングがよくて、私も雇い主も損しなかった。
そのあとはジャルと共にグロウス学園に向かった。魔法で強化していたから、早くついた。
「また、上げたか?」
「さ、ぁ」
「……体力はついてねーみてーだな」
今疲れたのはたまたまだ。たまたま!
私はジャルに続いて学園に入ることができ、そのまま見知った道をたどり、理事長室まで来た。
ジャルはノックをしたあと返事を待ってから扉を開けた。
「レイヴン!久しぶりだな」
「はい……」
「・・・」
私は理事長の言葉よりも、ソファーにうつむいて座っているエルの方が気になった。
たかだか数週間離れていただけなのに、何年も離れていたように感じるのは、申し訳なさから来るのかもしれないと思った。
その場で立っていると、理事長がエルの隣に座るように言うがその言葉よりも、エルから魔力の高まりを感じた。
「エル……?」
エルはソファーから立ち上がり、
「っ!水よ!おねぇちゃんにとんでけっっっ!!」
「!?」
私に魔法を放ってきた――――
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