尾行者《ストーカー》、再び。
私は使っていた言葉を心にだけ聞こえる魔法を解除した。
「レイヴン。この手紙はここで破棄していいかい?」
「うん」
「浮かべよ水よ」
タダンさんの手のひらに水の球が現れて、タダンさんはその中に理事長から来た2枚目の手紙をその中にいれて、1枚目の手紙は返してくれた。
「火でやらないの?」
「インクが消えればいいからね」
「そっか」
「詳しい話は、レイヴンが直接聞くんだよ」
理事長がエルは大丈夫だって言う手紙が来るまでは聞けないけど、ちゃんと聞いてきてちゃんと話す。
「うん。ありがとう。タダンさん」
「さて。これからレイヴンはどうするんだい?」
「お仕事に行く」
「では学園にはこちらからレイヴンが知ったことを伝えておくよ」
「タダンさん、理事長と知り合いなの?」
「あぁ」
「へぇ……なら、お願いします」
タダンさんは長く生きてるし、理事長と知り合いだったって確認したかっただけだから、どこで知り合ったとかは気にならなかった。
「仕事まで時間があるなら何か読んでいくかい?」
「うん」
私はそれから仕事の時間まで、本を読んだ。図書館が開店しても人があんまりいなかったから、タダンさんに色々教えてもらった。
「それじゃあ気を付けるんだよ」
「うん。またね!」
私は図書館から去り、仕事場へと向かう。
「ニャァーオ」
「あ、タマサン」
さっきとは違う場所から現れたタマサンは、私の側まで寄ってくると足に擦り付いてくる。
「タマサン、ごめんね。私今から仕事なの。また今度ね」
「ニャーォ……」
タマサンは言葉を理解してはいないけど、相手をしてもらえないと分かって、その場で丸まった。
「ごめんね」
私はタマサンに謝ると、仕事へと向かう…………ように見せかけて、大通りへと向かう。
そう。誰かが付けてきているのだ。私は慌てないでいつも通りのペースであるいた。
大通りに着く手前の道でチラリと。兵士さんを見つけた私は――
走り出そうとして後ろから腕を掴まれてしまった!
魔法で逃げるしかっ……
「嬢ちゃんをつけたら兵士に駆け寄るって思い出して良かったぜ……」
私はこの声を数週間前にも聞いたことがあった。
「……またジャルなの?」
「またってなんだよ!?」
私をつけていたのは、ジャルであった。
数年前につけられたのもジャルだ……
「ストーカーは良くないよ」
「そんなつもりはなかったんだよ!嬢ちゃん探して、見つけて声かけようとしたら猫が……」
「猫が?」
「猫がいて近寄れなかったんだよ!!」
「嫌いなの?」
「……嫌いっていうか、苦手なだけだ」
「かわいそう」
あんなにさらさらでもふもふな猫を触れないなんて……
「しょうがねーだろ!俺から近づくと、猫の方からぜってぇ引っ掻いてきやがんだから!」
「それで?話ってなに?」
猫に好きになられないのは分かったから、何故あとをつけたのかは話があるからだと思い、聞いた。
「相変わらずっ!まぁいい!!嬢ちゃんが知ったのかを確認しに来た?」
「何を?」
「何をってそりゃ……なんだと思う」
「喋ったらダメでしょ?」
「セーフだよ!セーフ!」
「えー」
王家の秘密については喋るのもダメってことが改めてわかったけど、ジャルがいつか喋っちゃいそうで怖い。これで私より年上なのが信じられない。そういえば、ジャルもゼイラルさんもいくつくらいなのだろう?
「とにかくあのじいさんから聞いたんだな!」
「あ、うん」
「嬢ちゃんには悪いけどな、今度主の住まいに来てもらうからな」
「え……」
主の住まい。ロットは王族だから住んでいるのは寮じゃない。つまり王宮に……
考えてなかったけど、考えればそうだよね。だって知っちゃったのだし。でもロットが……いや、エルを助けてくれたんだし今回はロットのせいにするのはやめよう。
「主が黙っていてくれって言ったのにゼイラルが報告しちまってな。嬢ちゃんが知っているのなら今すぐ来てもらえとの命令だ」
「命令って……誰から?」
「主のお父様から」
「・・・ちょっと心をおちつかせて…」
国王様自身からの命令……だとしたら逆らえるものじゃない!!私は后太妃様にあったときくらいに心臓がバクバクして、それが落ち着くまでほんの少しだけ、ジャルに会話するのを待ってもらうことにした。
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