カイル
あらすじに文を付け足しました。
学園の中に入ると目の前には校舎ではなく、講堂と呼ばれている建物が目にはいる。
学園設備に関する説明書には、講堂は様々なことを多くの生徒や人に説明するための場所だと書かれていた。
今回は入学式に使われるみたいだけど
「あ!おねぇちゃん!ミューカさんいるよ!カーもいる!」
「本当だ」
私達はミューカさんと息子のカイルの元へ歩みを進める。『カー』とはカイルのことである。
すると、ミューカさんが気づいてくれた。
「レイちゃん!ミシュくん!」
「あー!ミッシュ!」
「カー!」
カイルがエルに気がつくとエルを『ミッシュ』と呼んだ。ミシュよりミッシュの方が誰にも呼ばれたこと無さそうで『特別感』があるからだそうだ。
だから、エルもカイルのことを変わった呼び方で呼んでいる。カイルだったら、そのまま呼ぶか2文字にするかが普通だから。
「おまえも学校ここだったんだな!」
「うん!カーをビックリさせるからだまってたんだよ!」
「ならおれはちょービックリしたぜ!大せいこうだ!」
「やったぁー!おねぇちゃん!カー、ちゃんとおどろかせられたよ!」
「言った通りだったでしょ?」
「うん!!」
本当は別の理由で黙っててもらいたかったから、驚かせようってことにしただけだ。
「カイルを驚かせるだけなら、私には言ってくれても良かったのに……仲間外れかしら?」
「いえ!ミューカさんは私がおどろかせたくて、だまってたんです」
「まぁ!そうだったの?なら私もカイルと同じで、ちゃんとビックリたわ」
「はい」
ミューカさんに今まで伝わるのを避けたかったのだ。エルを寮に入れることを。
ミューカさんは優しいから寮に入れない道を提案してくれるから。でもそれには甘えられない。
「それよりミッシュはどこのクラスだ?おれは1組だぜ!」
「まだ見てない!どこにかいてあったの?」
「こっちだぜ!」
カイルに手を引かれてエルは、講堂の壁に大きく貼られた紙の前に行った。
私も後ろの方から見たその紙には、入学生を20人ずつ1~5クラスに分けた表があり、1年間そのクラスの人々と授業や行事を一緒にすることとなるものらしい。
「ミッシュは……『み』だから……」
上から名前順に書かれているみたいで、エルはミシュエルだから下の方だ。私も探す。えっーと。あ。すぐに見つけられた。
「あ!あったよ!僕も1組だ!」
「ほんとか!……ほんとだ!」
「「やったー!」」
カイルとエルは抱き合って喜んでいる。仲がいいなぁ。
「入学生徒の皆さんは講堂前列の席にクラスごとに座ってください!親御さん、保護者の方は後列にお座り下さい!!」
講堂の中から男の人が講堂の外で待っていた人々に呼び掛けると、それを合図に講堂へと皆入っていく。
「私達もいきましょうか」
「はい」
「おれらは前だ!行くぞ!」
「うん!」
カイルはまたエルの手を引き、講堂へと2人で向かっていった。
「まったく……ごめんなさいね。カイルが」
「いえ…」
カイルにはお姉さんがいるが、弟や妹はいないからかエルを弟のように可愛がっている。
「これからは……」
「どうかした?」
「いえ!なんでもないです!」
私はこれからエルの成長を時々しか見れなくなる。
明日のうちにエルの荷物が寮に届くように、お願いしてある。私はあの家で、1人で暮らすのだ。
これからそばで見守ることは出来ない。
でも、エルのためだ。おねぇちゃん離れも少しはしないと。1人でも出来ることを増やしてもらわないと。
そういう私も、弟離れをするんだよね……
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――とある1幕。
教員1「結構保護者いますね」
教員2「そうだな」
教員1「あれ?保護者席に子供が……」
教員2「そんなわけないだろ……いや、いるな」
教員1「お母さんから離れたくないんですかね」
教員2「だろうな。手を握って離さないようだしな」
~~~
――教員が気づく少し前。
レイヴン「ミューカさん。その指輪って…」
ミューカ「あ。気づいた?結婚記念日でパイルが買ってくれたのよ」
――レイヴン、ミューカの手を取る。
レイヴン「……磨きが甘いです。こんなんじゃすぐに取れない汚れになっちゃいますよ」
ミューカ「え。そうなの?ちゃんと磨いたんだけど……今度やり方が教えてくれる?これだけは自分で磨きたいの」
レイヴン「分かりました」
教員「ちょっといいかな?」
レイヴン「はい?」
教員「お母さんと離れたくないのは分かるけど、入学生は前の席だって決まってるんだ」
ミューカ「まぁ!」
――ミューカ。お母さんと呼ばれて嬉しがる。
レイヴン「私は弟の保護者です」
教員1&2「えっ」
レイヴン「子供だからって入学するとは限りませんから。それに、制服も着てないのはおかしいでしょ?見て分からないのはダメですよ。私より明らかに入学生が親から離れてないのに…」
――斜め後ろを見る。そこには制服を着て、明らかに親に抱きついて離れない子がいた。
教員2「すまない。それと教えてくれてありがとう」
レイヴン「いえ」
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教員1「子供でも保護者っているんですね……」
教員2「あぁ……あんなに大人びた考えを持っていたら入学なんてしなくていいだろう」
この日とある教員2人から、子供の全員が学校に入学するのが当然だという考え方が消滅した。




