第2のおじいちゃん
図書館へと来てからしばらく。
「レイヴン。来ていたんだね」
「タダンさん」
図書館の2階にいた私を見つけたタダンさんが、声をかけてくれた。
タダンさんはおじいさんだけど、この前は本を手押し荷台に乗せるために、数十冊を1人で運べるくらい元気。
「今日は何を読んでいるんだい?」
「これ」
私は読んでいた本をタダンさんに渡した。
「『食べれなくはない野草選』……前にも読んでいなかったかい?」
「前のは『食べれない野草選』だよ」
「そうだったか……?」
数千冊の本のタイトルを覚えているタダンさんが、間違うのもしょうがない。だって、『食べれなくはない』と『食べれない』はタイトルだけしか違いがない本だから。こういう本は『似類シリーズ』と図書館に通う人の間で呼ばれてる。
「他には何を読んでるんだい?」
「『育ててみよう。長期野菜』と『基礎を学ぼう。マナー編 中巻』だよ」
長期野菜は一度植えると1つの根で、何度でも収穫できる野菜のこと。その分、育つまで時間がかかる。
マナー下巻はすでに読んでエルに叩き込んだ。貴族が多いから、子供のうちに覚える部分だけ教えてあとは学校で学んでもらうことにして教えてた。
「長期野菜は作らないんじゃなかったのかい?」
「エルがグロウス学園に受かったんです。だから…」
エルがいなくなる分、何か構うものが必要だと思った。エルがいない寂しさを、何かで埋めないと……仕事をし過ぎる気がしたから。
「ほぅ。そうか。おめでとう。レイヴンの頑張りとミシュエル君の頑張りの成果だね」
私の考えを分かっているような反応をしたタダンさん。
「はい」
タダンさんには家計簿以外のほとんどを話してある。口が高くおばあちゃんの知り合いという点で、少しずつ周りに人がいない時話していったのだ。知り合いで一番私を理解しているのは、タダンさんではないかと思うほど。
「しかし、長期の野菜は植える時期を間違ったり、土の栄養が少ないと育ちにくいからね」
「タダンさん、まだ私、読んでない!」
「おや、そうだったね。すまない」
どうしてもタダンさんといるときだけは子供っぽくなってしまう……まさか。先生だからじゃなくて、おじいちゃんだと思ってというおばあちゃんの言葉を知らず知らずのうちに受け入れてたのかもしれない。
「どうかしたのかい?」
「うんん。なんでもないよ」
ならば、第2のおじいちゃんで先生ということにしよう。どっちか片方を選ぶんじゃなくて、最初から両方一緒ってことにしておけば良かったんだ。うん。
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『平成』が終わりますね……
まぁ、日常に支障はな…くなはいのかな?
では、明日からの『令和』でお会いしましょう!




