シンデレル・ハイサンド
私とエルはようやく理事長?の名前を知ることが出来るようだ。
「先程はすまない」
「はい」
「え?」
……本音が出てしまった。違うって言わないと!
「いえ。大丈夫です」
「大丈夫です!」
エルは何かは分かっていなかったが、私を真似て大丈夫だと言ってくれた。
「……そうか。では、改めて――」
理事長?は咳をついて改めて喋りだした。
「――グロウス学園理事長のシンデレル・ハイサンドだ。君たちが、ミシュエル・バルオンとレイヴン・バルオンで合っているかを一度、確認させくれないか?」
「…どうぞ」
エルの出生書と住民票を、理事長私達の間にあるテーブルに置いて差し渡した。
「・・・。確認した。それでは、この書類にサインを――」
「書類内容は?」
「……書類内容は聞いていたか?」
「ごめんなさい…」
「…いや、俺が悪かったんだ。では、書類の内容を今から喋る。分からないところがあったら言ってくれ」
――クイクイッ。
「おねぇちゃん」
エルが私の袖を引っ張ってきた。
「どうしたの?」
「トイレっ。どうしようっ!」
一度に飲み干すからトイレに行きたくなるのだと言いたいが、我慢できずに…となるのは可哀想なので、理事長にトイレの場所を聞くことにした。
「……すみません。お手洗いってどこですか?」
「私が案内します」
理事長ではなく女の人が答えて、トイレまで案内してくれるらしい。
「エル。あの人に着いていけばトイレ行けるけど……おねぇちゃんも付いてく?」
「すぐ戻るからおねぇちゃんは待ってて!」
「分かった。あのお願いします」
前までは知らない場所には私が付いていかないとダメだったのに……エルも成長したんだなって最近思いすぎる。
……私よりも大人になってないよね?
エルは女の人に先導されてトイレに向かっていった。
「それじゃあ、俺達は書類について話そうか」
「はい」
エル達が帰ってくるまでに話してくれたのは、学園でのルールと注意点だった。
私が理解出来ないところは、別の物に例えながら教えてくれてとてもありがたかった。最初からこうして話してほしかったと少しだけ思った。
「――になる。あとはここにレイヴンのサインを、ここにミシュエルのサインをくれれば終わりだ」
「わかりました」
「寮はどうする?」
「・・・」
エルが寮に入れば一緒に暮らせなくなるということだ。でも、この学園から私達の住んでいる家までは相当ある。
馬車にいまだに嫌悪感を持っているエルが、馬車で通学するとは思えない。
「……入れます」
「確かにここからじゃ2人の家までは遠いからな」
「・・・はい?」
「それに馬車に乗れないミシュエルのためにもなるだろ」
何故。この人はこんなにも私達のことを知っているの?
理事長に恐怖を感じた。でも、聞かないのはモヤモヤするから――
「どうした?」
「あの、どうしてそんなに、私達のことをそんなに知ってるんですか?」
「は?」
『は?』とはどういう意味の反応だと思えばいいの…?
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