グロウス学園 ★
数日後。
私はエルを連れてグロウス学園に来ていた。
――グロウス学園。
王都で1番大きな学校で、6才から12才の初等部と13才から18才までの高等部が1つの場所にあるのが特徴。
高い入学金と年間費だが、学内の食堂が無料になり、寮も申請さえ出せば翌日から住める。
寮は1人から2人部屋で、部屋にはベッド・シャワー&浴槽・自動洗濯箱・冷蔵庫などが常備されている。――
「ここ?」
「そうみたい」
私はここに来たときに門番の人に、グロウス学園からの合格通知を見せて学園の中に入れてもらった。
そして今私達は学園の中で待っていた女の人に、
「では、理事長室にご案内しますね」
と言われて連れられ、理事長室という部屋の前まで来ていた。
理事長とはこのグロウス学園で1番偉い先生だと、図書館で学んだ。だから、理事長室はその人がいる部屋ってことだ。
偉い人にはきちんとしないと。私は少し大人になったのだから。
――コンコン。
「理事長。ミシュエル・バルオン様とレイヴン・バルオン様をお連れしました」
「入ってくれ」
「失礼します」
女の人が扉を開ける。
「失礼します」
「…しつれいします」
私とエルも部屋の中に入る前に、入る前の挨拶をする。
部屋の中にいたのは、黒っぽい服を着ていてメガネの男の人だった。
……このが理事長で合ってるよね?凄く、ぼわっとしてる。眠そうな感じ?でも、この部屋にはこの男の人しかいないし。
「……お2人にお茶を……いや、オレンジジュースを」
「かしこまりました」
女の人は部屋の外に行ってしまった。
「ミシュエル、レイヴンはここに座ってくれ」
座ってくれと言われたのは、理事長?の前のソファーだった。
いきなり理事長?にこちらの自己紹介も無しに呼び捨てにされて驚いたけど、でも偉い人だしいきなりでも我慢しよう。
私とエルがソファーに座るのを待ってから、理事長?が話始めた。
「…それじゃあ、この書類を読んでサインしてくれるか?……あ、読めないか……なら俺が読むから、そのあとでサインを――」
いきなり書類にサインをしてくれと言われた。入学に関してのことを言っているのは理解できるけど!
私が混乱している間にも理事長?は喋り続けていた。
「あの」
「…なんだ?意味が分からない言葉があったか?」
「・・・」
意味が分からないのは貴方だ!とは言いたくないけど、いいたい。
初めてあった見ず知らずの人間にいきなり契約書のサインをしろと言われて、分かりましたとは言えない。
「ジュースをお持ちしました……」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとーございます!」
女の人はオレンジジュースを持ってきてくれた。私は一口飲みエルは、飲み干しそうな勢いでゆっくりと飲んでいる。
「いえ……何か問題がありましたか?」
「いや。特には。今、分からない言葉があったようだから聞くところだ」
女の人が理事長?に何かあったか聞いている。何の説明もなく始まっていて困ってるって言いたい。
「…ずいぶんと、親密な喋り方ですね」
「え?……あ」
何だか喧嘩が始まりそうな雰囲気になった。女の人の視線に、理事長?が怯えているような……?
「『あ』ということは、まさかまた――」
「――す、すまない!ちゃんとするつもりだったんだ!」
「当たり前です。ちゃんとしてもらわないと困ります!」
「はぁ……それで?どの手順を飛ばしたんですか?」
「えーっと。自己紹介と本人確認と――」
「つまり大事な部分ですね。では、そこからやり直してください」
「……はい」
始まってくれた喧嘩のお陰で、私はようやくちゃんとした説明を受けられそうだと、心から女の人に感謝した。
そういえば、女の人の名前を知らない。あとで教えてもらえるかな?
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