贈り物 ★
エルに声をかけられた后太妃様が、衣装部屋から結構すぐ出てこられた。
「お待たせをしましたね」
「いえ……」
「ではまずは――」
后太妃様が持っていたのは小さいけれど、宝石の付いたネックレスやイヤリング、髪留めなどを数十個は持ってこられた。
ひとつひとつ見せた后太妃様は最後に、
「これくらいならば親御さんの形見だといって売りやすいでしょう。値段も10万デル程ですから目を付けられて盗まれることはないですよ」
と、言ってくれた。
私が思っていたよりも私達の事を考えていてくれたみたいだ。
「ありがとうござ――」
「最後にですけれど」
まだ渡し足りなかったようだ。
「まずエル君にはこれを」
「・・・なあに?これ?」
エルに手渡されたのは黒鉄の腕輪。
留め具に段階があって大きさも変えられるみたいだ。
「魔法増強の腕輪です。一見するとただの黒鉄ですが、魔力を込めて魔法を使うと威力や効力が倍増するものです」
「?」
「エル、これをつけると魔法が強くなるんだって」
「まほうが?でもぼくまほうつかえないよ?」
「・・・」
そう。エルは魔法が使えない。使えないのだ。
「エル君には確かに魔力が流れていますよ。頑張って練習すれば、使えるようになるでしょう。ね。レイヴンちゃん」
「……ソウデスネ」
后太妃様に見抜かれている。
私が后太妃様に見抜かれたのは、私がエルに掛けている魔法を使えないようにする魔法のことだ。
イメージは魔力がイメージでまとまらないようにする事。
エルにはまだ魔法は早いと思ってのことだった。だって、使えたら絶対、絶対に遊びにしか使わない。
今、エルの中での魔法に対するイメージは、傷がなおせるのと、空を浮かんでいられたりなど、楽しいことや嬉しいことだけなのだ。
それにうまく使えなければ正しい疲れるだけだし、頭も痛くなる。
「エル君、レイヴンちゃんに魔法を教えてもらえるといいわね」
「うん!おねぇちゃんはまほうがじょうずだからね!ぼくもすぐじょうずになるよ!ねっ!おねぇちゃん!」
心が痛い!でも、后太妃様が言ったってことは、もうエルは魔法をうまく使えるのかも……と思うしかないよね!?
「うん。そうだね……」
「それと、この腕輪はエル君のお爺様が贈るくれたものなんですよ。それを私からエル君に差し上げます」
「おじいちゃん?」
「えぇ」
エルはおじいちゃんのことを全く知らない。赤ちゃんの時に会っているだけだけど、なんだか嬉しそうだ。
でもおじいちゃん、后太妃様にこんな真っ黒な物を贈るなんて、趣味が悪い。
「レイヴンちゃんにはこれを」
「これは?」
「結界という魔法が入ったネックレスです。魔力を込めるだけで魔法を弾いてくれます。魔力の量によって範囲は変わりますよ」
「けっかい?」
「…魔法から守ってくれる魔法です。何度でも使えますから便利ですよ」
魔法から守ってくれる魔法……今度図書館で調べてみよう。
後日調べた結界の絵を見た。
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