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自己紹介


あの日から数週間と立たずに、私とロットは再会した。



「君!?どうしてここにいるの?!」

「あらランス。お知り合い?」

「…前に話したミサキ・バルオンさんのことを教えてくれた女の子です」



后太妃様の問いにロット……王子様が答えた。



「そうだったの。・・・ランス、本当にリリーナさんには言わないというのでしたら、紹介しますよ」

「言いません!」

「ならここでのことは一切他では話さないでくださいね」

「はい!」



勝手に紹介すると言われたが、后太妃様に『やめてー!』なんて言えない。

その間、私に飛び込んできたエルは、持ち帰ることのできないケーキを食べさせていた。もう、晩御飯もいらなくなりそう。


そんなことを考えていると、后太妃様に連れられてロットが近づいてきた。

今更ながら、私は王子様の名前を知らない。

王子様の名前さえ覚えておけば大丈夫だと思ったから。



「ではわたくしはやることがあるのから、色々とお話を楽しんで」

「あ、おばあ様!行ってしまった……」



去っていく后太妃様をしばらく見つめるロットは、ゆっくりとこちらを向いた。



「・・・名前を聞いてもいいだろうか?」

「エル。ごあいさつするよ」

「はーい」



私はエルを椅子から立たせて隣に並ばせると、ロットに向かって自己紹介をした。最近、自己紹介をいっぱいしてる気がする。



「レイヴン・バルオンと申します」

「みしゅエル・バルオんともーします」

「バルオン……なら君は、ミサキ・バルオンの孫?」

「はい」



私達の自己紹介を聞いたロットは、少し驚いた顔をしている。



「君がレイヴン?」

「…はい」



私は急に名を呼ばれ顔をイラッとさせかけたが、すぐに真顔に戻した。ロットは王子様、ロット王子様。



「いや、すまない。孫がいるとは聞いていたけど、君がレイヴンだとは思わなかった。こっちの子がレイヴンかと……」

「つまりは、レイヴンさんとミシュエル君の名前を見て、レイヴンさんが男性、ミシュエル君が女性だと思ったということですね。殿下」



エルと共にいたゼイラルさんが遅れてやってきて、名前に対するロットの誤解を教えてくれた。


……確かに『レイヴン』はあまり女の子っぽくはない。でも、仕方がない。お母さんがどうしても『イヴ』という文字を入れたかったそうだ。そして、『イヴ』の候補の中から選ばれたのが『レイヴン』だったのだ。


『ミシュエル』はお母さんVSお父さんの名付け合戦。これにしたい!いや納得しない!の繰り返しで、3日間の口喧嘩のような言い合いに痺れを切らしたおじいちゃんが、名付けて役所に勝手に申請した。お母さんとお父さんが気づいたときにはすでに『ミシュエル』で決定していたらしい。



「ゼイラル!それにジャル、いたんだな」

「えぇ、いましたとも!」



ジャルに気づかないとか、ロットは目がどこかおかしいのではと思う。



「殿下。今日はどうしてこちらに?」

「おばあ様が、ゼイラルとジャルの2人を連れていった理由が知りたかったからここに来た。客人が彼女と彼だとは知らなかった」

「理由を知りたいだけなら私達が帰ったときにでも聞いてくだされば――」

「おばあ様に言うなと言われて帰ってくると思った」

「后太妃様なら絶対に言うな」

「ではもう后太妃様に理由をお聞きになりましたか?」

「いや、聞く前に衣装部屋へと行ってしまわれた」

「レイヴンさん。お話ししてもよろしいですか?そうしたら、殿下も帰るそうなので」

「・・・」



悩む。とても悩む。どうしよう。でももう、話しても話さなくとも同じな気がしてきた……早く家に帰りたい。



「……どうぞ」



こうして、ロットに全ての理由が伝えられた。



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