后太妃様
その後落ち着きを取り戻した私達はニーダン副隊長と分かれ、ゼイラルさんを先頭にジャルを1番後ろにして、后太妃様が待つ部屋へと連れていかれた。
その間、地下と草のトンネルみたいな所を通って、后太妃様の部屋の前に着いた。
エルは冒険みたいで楽しいっていいながら、私の手を離さなかった。
『ぼうけんにはまもるなかまがいるんだよ!おねぇちゃんはぼくがまもるからね!』
どこかで同じようなセリフを聞いたことがあるけれど、エルが楽しそうなので良しとした。
扉の前には、街の兵士さんよりいい鎧を来た兵士さんが2人いた。
「后太妃様より使者に出されたゼイラル・ムーロンです」
「同じく使者のジャル・メイジです」
兵士さん達を無視して扉に向かって話しかけるゼイラルさんとジャル。
2人が緊張しているみたいに見えるのは気のせいじゃないよね?
「お入りなさい」
扉のございます向こうから、女の人の声がする。それも、おばあさんみたいな。多分、この声の人が后太妃様……
兵士さん達により、扉が開かれた。
「「失礼いたします」」
「しつれいいたします」
「しつれいいたします?」
私達の言葉をマネてエルも入るときの挨拶をした。普通は使わないからね。
后太妃様はテラスの椅子に座っていた。側にはメイドさんが2人いる。
「まぁ!可愛らしい子達ね!この子達がレイヴンちゃんとミシュエルくん?」
「はい。間違いなく」
「平民という身分を鑑みまして、隠し通路を使わせていただきました」
私達を見た后太妃様は、懐かしむような笑みを浮かべてくれる。というか、隠し通路って隠していざってときに使うものじゃ……
「そう。良い判断です。控えていなさい」
「「はい」」
「突然呼んでしまってすみませんね。はじめまして。わたくしはサブナリア・K・インベルージュと申します。よろしくね」
ゼイラルさん達を誉めると、后太妃様が名乗った。そう、名乗ったのだ。
王族の名前を本人から聞けるなんて……!っ、感動してる場合じゃなかった。
「あ…、はじめまして、レイヴン・バルオンです」
「ミシュエル・バルオンです」
エルはいままでて1番良く発音がよかった。舌足らずの感じも少し抜けていて。でも、エルがこういう時ってお腹が空いてきてるってことなんだよね……
「まぁ!レイヴンちゃんは6才で、ミシュエルくんはまだ4才なのにこんなにはっきりと発音出来るなんて…凄いわね」
「えへへへっ」
エルは誉められたと分かって照れている。それに后太妃様は少しおばあちゃんに似ているから、エルも余計に嬉しくなったのかもしれない。
「まっ!可愛らしい笑顔ね~!ミシュエルくん!お菓子やケーキを上げたらもっと笑顔が見れるかしら?」
「えっ!おかし!ケーキ!?――あ。おねぇちゃん!このおばちゃんおかしくれるって……もらっていい?」
「っ!」
エルの無邪気さが凄い。
それに、それに!后太妃様を『おばちゃん』って…!!!メイドさん達の視線が痛い。ゼイラルさんとジャルは表情に何も変化がなくてわからない。……こういう時だけ2人に助けをものめるのは違う。
「ミシュエル、ダメだよ。このかたは――」
「良いのですよ、おばちゃんで」
「・・・」
「おねぇちゃん!もらっていーい?」
后太妃様が良いって言ってるのだし……ここでだけの限定なら呼んでも大丈夫だよね?大丈夫だよね?!
私は今、この短い人生の中で1番頭を使った。……エルが、后太妃様で、お菓子と、おばちゃんで――――
「……もらっていいよ。こぅ――おばちゃんからもらえるものは私に聞かなくても、エルが欲しいならもらって」
「やったぁー!おばちゃん!おかし!」
「こちらにたくさんありますからね、好きなだけ食べて」
「わーい!」
后太妃様のテーブルにはお菓子やケーキ等がたくさんあった。エルは后太妃様の横の椅子に座ると、
「レイヴンちゃん。貴女もどうですか?」
「……いただきます」
私はエルの横にある椅子に座ると、『食べて?』という后太妃様の視線の中、目の前のお菓子を手に取り食べた。
見た目で分かってたけど、このお菓子。
すっっっごくおいしい。
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