副隊長
ジャルが股間の痛みで上げた声で、ゼイラルらしき人……じゃなくてゼイラルさんと、見知らぬ男の人がこちらに向かってきた。
「ジャル?どうしかんですか?」
「これは……股間部分に何かが起こったのだな!」
ゼイラルさんは何が起こったのか聞いて、見知らぬ男の声はさっきまでドアを叩いていた男の声によく似ている。私はエルの手を握り、少し後ろに下がった。
「くっ……踏まれ……たんだよ。……を、ガキ、2人になっ……!」
「「・・・」」
ジャルが痛みの理由を私達だと言った。……確かに踏んだ。でも、いくら顔見知りだからといっていきなり抱きついてこられたら、離れたくなるのは当たり前じゃないか。
いや、他の理由の方が1番だけど……でも、知り合いならこんなに暴れないかもしれない。
まだジャルは私の中では『知り合い』ではないのだと改めて思った。だから、今回は、
「じごうじとく」
「ジャルがわるい!」
という事で。
「ふ、ざけんなっ!俺は、ニーダン副、隊長にこわい思い、させられたと思って、安心させようと、しだけだっ!」
「他にも方法はあったと思います」
「おもいます!」
「レイヴンさん。ジャルは何をしたんですか?詳しい説明をお願いします。こちらもこの人についてお話するので」
『この人』つまり、見知らぬ男……たしか副隊長って言う人の行動の理由をゼイラルさんが、聞かせてくれるってことだよね。
「……ジャルが私達をなんどもよんだので、外にでたらいきなりだきつかれました。私もエルもだきつかれるのがいやなのであばれて、はなれたんです」
「……なるほど。では、ジャルのこれはレイヴンさんのおっしゃった通り自業自得ですね」
「はい」
これって言い方は、さすがにどうかと思うけど……
「そりゃねーだろ!」
「黙ってください。顔見知りでしかない私達が、いきなり抱きついてこられたら困るのも離れようとするのも当然です。『親しき仲にも……』という言葉がありますが、私達はまだ親しくもなってません。あなたも、顔見知り程度の女性がいきなり抱きついてきたら、すぐに離れるようにいうでしょう?それと同じです。反論は?」
「……ない」
ゼイラルさんのお説教の仕方は凄いと思った。何がかは分からないけど。
「分かればいいんです」
「はははっ!相変わらず、ジャルはゼイラルの尻の下だな!」
まるで他人事のように笑う副隊長と呼ばれる男。
「ニーダン副隊長。貴方は反省してるんですか?子どもしかいない家に、盗賊のように声を叫び続び相手を怖がらせ続けていたんですよ?」
「うっ」
「しばらくは黙っていてください。いいですね?副隊長」
「分かった……」
副隊長と呼ばれる男はゼイラルさんより体が大きく見えてたのに、凄く小さくなったように見える。
「レイヴンさん。まずは、謝罪をこ、の人が申し訳ありませんでした」
「いえ」
『この人』じゃなくて、『これ』って言いそうになってましたよね?でも、そういえばちゃんと謝ってもらってなかった。ちょっとだけムカッとしたので、副隊長と呼ばれてる男を睨んでおく。
「……可愛い」
「は?」
睨んだら可愛いと言われた。意味がわからない。そこはこわいじゃないの?!睨まなきゃよかったっ!
「副隊長!私語!」
「っ!すまない!」
ゼイラルさんに言われて副隊長と呼ばれるの男は、ゼイラルさんの許しが出るまで喋らなくなった。
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