詮索不可です、ゼイラルさん
魔法を解いたのは家に続く森の前だった。森の中を走るのはちょっと危険だし。枝先とか土が凹んだりとか。ジャルは途中で倒れたみたい。
置いてきたけど。
そして、その森の前には、
「お待ちしてましたよ」
ゼイラルさんがいた。どうやって先に来たのだろう?と思う。
「ごめんなさい。とつぜんはしっちゃって」
「いえ。ご事情があったんでしょう。仕方がありません」
ゼイラルさんは気にしてないと言ってくれた。ありがたい。
「あの、どうやってきたんですか?」
「風で飛んできました」
「かぜで!?」
「すごーい!」
私はまだふわふわ浮かせることしかできない。飛べるなんて凄いや……私とエルは多分同じくらいには驚いた。
でももう、ゼイラルさんはここにいるから、送ったことになるよね。
「それじゃあ――」
「待ってください。ご事情の説明をお願いします」
『――さようなら。ありがとうございました』って言おうとしたらゼイラルさんが……うん。突然走っていったのを気にしてない訳じゃなかったみたい。
ここは素直に説明をしよう。
「……ごごからお仕事が、あって。おひるごはんも作らなきゃいけないし。エルも家にいれないとだったので、急ぎました」
「なるほど。しかし、我々に一言言ってくれればお昼御飯も奢りましたし、ミシュエル君も家にお送りしましたよ?」
ゼイラルさんならそういうと思った。ジャルも気にしないんだろうな……けど、力のある貴族と仲よくすると『けんりょくあらそい』にりようされるから、関わるとしても短い期間だけにしなさいって、おばあちゃんの手紙に書いてあった。まだ読んでないのいっぱいある。
「家に送るのはまだいいけど、あとは……べんしょうには入ってないから。『借り』は作っちゃダメなんです」
「まだ子供でしょう?大人の手を借りることは借りではないですよ?」
「こどもだからです。後で『あの時のこともある。だから』とか『あんとき施してやったろ?』とか言われたらどーすることも出来ないですから」
おばあちゃんの手紙に書いてあったことをそのままゼイラルさんにいった。ゼイラルさんが貴族でも、子爵くらいだったらよかったのに。
「何があったんですか?」
「いいません。ゼイラルさんがいい人でも、ゼイラルさんの回りの人がそうとはならないから」
ごめんなさい。ゼイラルさん。私はまだないけど、おばあちゃんはあったみたいだから。おばあちゃんのいいつけは、まだ守りたいの。
「・・・分かりました。では」
「ゼイラルさん」
聞かないでくれたゼイラルさんに、どうしてもいっておかなきゃいけないことがある。
「何でしょう?」
「私達にかかわるためにしらべないでください」
本当にこれ以上は知り合いから顔馴染みになっちゃう。だから、出来るだけ真剣にゼイラルさんに『調べないで』といった。もう、私の性格を少し理解してるゼイラルさんなら、分かってくれるはず。
信頼と信用は貴族にとって大事なことだし。……多分。でも、私達のことを力のない子供だとハッキリ言われたら、ひていできない。
「……分かりました。それでは」
まゆげとまゆげの間を寄せて目を細めたゼイラルさんは、分かったといってくれた。よかった。
そのままゼイラルさんは私とエルに背を向けて去っていく。
ゼイラルさんを少し見送ると、森の先にある家へと帰った。
なんだか少しだけ胸がチクチクする。
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