たおれこんでる2人
しばらくして。
私とゼイラルさんが目的の靴屋の前につくと、エルは仰向けに、ジャルは壁に背を預けて息を整えていた姿を目にうつした。
「エル、大丈夫?」
「う、ん!」
「ジャル、あの程度で疲れるなんて体力不足ですか?」
「なわけねぇ…だろっ!」
私はエルを心配したのだけど、隣にいるゼイラルさんはジャルになぜ疲れてるといわれていた。疲れない人はいないとおもうけど。
「店前で転がられると営業妨害なんだが?」
「すみません。今退かします」
「うげっ」
くつ屋さんから出てきたおじいちゃんが、そういうとゼイラルさんがジャルを足で扉の前からどかそうと蹴っている。
ジャルの服の一部が汚れていくのを見るのをやめ、エルに起きるように言った。
それにしてもここ……来たことがあるような、ないような……
「エル。立てる?」
「うん!」
元気よく返事をしたエル。
「ジャル。貴方のもミシュエル君を見習いなさい」
「子供の、底無し体力が羨ましいな!」
子供だって疲れるぞといいたい。大人に比べれば疲れるのが早く治るだけだと思うから。
「お主ら、何をしに来た。妨害か?買い物か?」
「買い物です。ナディさん」
「このガキの靴を作って欲しんだよ」
ジャルがおじいさんの前でエルの頭に手をおく。
「てー!のせないでー!」
「減るもんじゃねーしいいだろ!」
「ハゲる!」
「ハゲって!おまっ!」
喧嘩を始めたエルとジャルを放っておき、私は悩みを口にした。
「つくるって?」
くつを作るのは当たり前だけど、なんでそれをいまいうのだろう?くつなら売ってるやつじゃないの?
「・・・。この子らは?」
おじいさんは私とエルに目を向け、誰だと言っている。
……私の悩みは誰にも解決されなかった。でも、会話を聞いてれば答えが見つかるかもしれない。
「先日、ジャルの不注意で靴を無くしてしまった子と、その姉君です。主から見つけて弁償しろと言われまして……」
「ほう?お主らがあの子から離れるくらいには注意されたんだな」
「えぇ。『いくら不注意とはいえ、不注意が起きる原因はジャルにあった。その場で強引にでも弁償をさせてもらうべきだった。だから、探しだして必ず、弁償させてもらえ』と」
「それで見つけ出したと」
「はい。姉君の方が有名でしたので」
「有名?どこかのご令嬢か?」
「いえ」「あ」
「どうかしましたか?」
ゼイラルさんの声にかぶってしまったが、思い出した。ここにも『雇ってください』と言って来たことを。
そのときは若い女の人が出たから、おじいさんじゃなかったけど、おじいさんが着けてる緑色のエプロンに花の絵が書かれてるのを見た記憶があった。
思い出したのはいいけど、言わなくてもいいよね?
「あ。なんでもないです」
「そうですか。そうだ。お名前を教えても?」
おじいさんにということだろう。でも、
「えっと、じぶん達でします。エル、自己しょうかい」
エルに自己紹介するようにいう。私があとの方が、エルが何かしたときにふぉろー出きるから。
「わかった!――はじめまして、ぼくは、ミしゅエル・ばるおんといいます」
「レイヴン・バルオンといいます」
「「よろしくおねがいします」」
「ふ。私はナディ・ギーヴァという。ここで靴を作っている。よろしくな」
私達がおじいさんに自己紹介をすると、職業付きで自己紹介をしてくれた。
「うん!」
「はい。ギーヴァさん」
「ナディでいい」
「…はい!」
返事をした時に、名前で呼んでいいと言われたので、ナディさんと呼ばせてもらうことにする。『ナディ』と呼び捨てにはできない。
私達はそのままお店の中に入れさせてもらうことになった。
お店の外の看板には『シャローヌ』と書かれていた。上の方にも文字があったけど、読む前にお店の中にどうぞと言われたからよめなかった。
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――ある日の一幕。
レイヴン『雇ってください!』
ナディ娘『まぁ!可愛らしいお嬢さん(。でも、ごめんなさいね。ここは子供が働ける所じゃないの』
レイヴン『そうですか……』
ナディ娘『でも、紹介なら出来るわ』
レイヴン『本当ですか!!』
ナディ娘『この道の角にある赤い屋根のお店なら――』
レイヴン『ありがとうございます!!』
―レイヴンは話を最後まで聞かず、すぐに行動したのだった。




