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院長さんは無表情

キーワード『弟』を『姉弟愛-ブラコン-』に変更しました。


孤児院にあの子達を送ると、表情があんなりでない院長さんに仕事代貰う。

この院長さんは私とエルの事を名前と君付けで呼ぶ。孤児院の子と分けているからだと前に聞いた。



「では。レイヴン君。またよろしく頼むよ。それと、ミシュエル君が外に出たのを止められなくてすまないね」



後付けのようにエルを止められなかったと無表情でいう。本当にそう思っているの?と思う。



「いえ。大丈夫です。エルもこうして反省してますし」

「そうか。それなら良かった。私のせいにされても困るしね」

「院長さんのせいにはしません」

「そうだね。レイヴン君なら私のせいにはせずに、自分の教育不足を失敗だと落ち込むだろうね」

「そうですね」



院長さんは私を普通の6才児とは思っていない1人。


最初は子供扱いしていたけど、ある日私が年上の子を言葉で負かした時から、今みたいにどこか含みのある言葉遣いになった。私も大人に子供じゃない扱いをされるのは、あまりなれていなかったから最初は苦手だった。

でも、私事をちゃんと理解して話してくれているから難しすぎる言葉はあまり使ってこない。……時々、『この言葉は知っていますか?』みたいな態度で分からない言葉を使ってくるけど。


そういったことがもう何十回とあり、こういった言い合いも慣れてきた。



「お、おねぇちゃん。はやくかえろう?」

「そうだね。それじゃあ、院長さん。さようなら」



エルに帰ろうと言われて、話をきっぱりやめ帰ることにした。長居しても暗くなって帰りづらくなるだけだし。



「えぇ、またよろしくお願いしますね」



院長さんと別れを告げ、エルと手を繋いで帰った。


孤児院が見えなくなるとエルが不安そうに話しかけてきた。



「ねぇ、おねぇちゃん」

「ん?どうしたの?」

「いんちょうさんとなかわるいの?」

「…どうして?」



仲が悪い。そう聞かれた私はなぜとしか言えなかった。だって、エルが何故そう思ったのかが、分からなかったから。院長さんと喧嘩なんてしたこともないし。



「さっき、すごくこわかったんだもん。おねぇちゃんといんちょうさん」

「え?こわかった?」



そんな怖い事なかったと思うんだけどな……



「うん」

「そっか。でも、院長さんとは、仲良しだから大丈夫だよ」

「ほんと?」

「ほんとう」

「そっか!よかった!」



エルの不安そうだった顔が、パァーっと笑顔になる。

今日はエルの色んな表情が見れて私も笑顔になった。笑顔で思い出した。



「それじゃあ、今日は帰ったらお勉強だよ。エル」

「え?おべんきょう?きょうはおべんきょうの日じゃないよ?あしただよ?」



エルがきょとんとした顔になった。

勉強する日は週に4日の2時間だけと決まっている。そして今日はその日じゃない。明日なのだが。



「そうだね。でも、せっかくエルが『はんせいするよ』って言ってくれたし」

「でも!しなくていいって」

「うん。だから『反省』じゃなくて『お勉強』にしようと思って」

「おべんきょうに?」

「そう」

「うーん。分かった!おべんきょうする!」



エルはまだこういったことを考えるのが苦手だからこそ出来た強引さ。『反省』の内容を『勉強』にしたのだ。いつもの反省の仕方じゃないから、エルは簡単にはいいと頷いた。



「じゃあ、ご飯の前と後。どっちがいい?」

「前!ねむくなっちゃうから!」

「そうだね」



家に着くと早速勉強を始める。30分だけだけどね。


ちなみに。エルに甘い私は約束を破ぶられてしまったけど、晩御飯にデザートをつけた。



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