ロット。
Whiteday
路地で出会い仕事場へ連れていくことになった男の子のは、ロットというらしい。家名は言わなかった。いや、言えなかったというのが正しいかも。
「お?遅刻か?レイ」
「時間、通りのっ、はずです」
「はぁ、はぁ、はぁ」
時間が迫っていたから、私はロットを急かして走らせたのだ。ゆっくりしゃべってる暇がなくなった。
遅刻は絶対にやってはダメだ。信用が落ちる。
「はははっ、その通りだぜ。んじゃ、早速頼みてぇが、隣の坊主もやんのか?」
店主のおじちゃんがロットを見ながら言った。つまり、ロットが仕事をやるのかどうかを聞いているのだ。
一応、聞いてみるか。
「どうするの?」
「……やります」
え?やるんだ……
「んじゃ。頼んだぜ、もうたんまり溜まってるからよ!」
「はい!」
「…はい」
おじちゃんは店の中へと戻っていく。顔見知りだから仕事の内容をいちいち言ったりしない。
でも、今回はしてほしかったかも。だってロットがやるって言ったから。このまま行くと……
「何をするの?」
「何でひきうけたの?」
ほら、やっぱり。私が教えることになる。
「君――レイがやれるなら、ぼくにも出来ると思って」
「・・・名前で呼んでいいなんて言ってない」
おじちゃんが呼んでいるからって、ロットが呼んでいいことにはならない。
しかも、愛称で。出会ったばかりの。正体不明の。ロットに……
私は自然と、ロットを睨んだ。
「っ!ごめん。なら、なんて呼んだらいい?」
うーん。ロットの今の信頼度だったら……
「『君』で。私はロットって呼んでと言われたから、ロットって呼ぶけど」
『君』。見ず知らずの相手を示す名前。私はロットにそう呼ぶように言った。
「親しくならないと、呼ばせてもらえないの?」
「当たり前でしょ?ロットも見ず知らずの人に愛称で呼ばれたら、嫌でしょ?」
「・・・」
「……まさか『ロット』って、愛称だったの?」
今の間はなに?もしかして、いや。でも・・・。ロットは愛称のの?
いや、いやいや。それをいきなり呼ぶように言うなんて、そんなはずは……ないよね?
「しつもんが多い。ほら、行くよ」
「あ。待って!」
私はロットの親しくならないとという問いを質問が多いといい、いつもの場所に向かった。そしてロットも後ろから付いてくる。
いつもの場所とはお店の裏手にある洗い場。おじちゃんのお店は飲食店だから。食べ終わったあとの食器を洗う仕事をしてる。
お昼時だから結構多いけど、2人でなら少しは早く終えられそう。
「ここは……」
「ここにある食器を洗うの。ロットは食器を拭くだけでいいから」
「でも、レ――君が水を扱うのに、ぼくだけ見てるなんて出来ない」
レイと言いそうになったロットは、ちゃんと私が指定した呼び方になった。しかも、私だけ食器の汚れを落とすために、水を扱うこういに引け目を感じたみたいなんだけど……
「じゃあ、洗い方分かるの?」
そう。食器にも洗い方と順番がある。最初はコップは手で、お皿やお碗は硬い布で、スプーンとかフォークは柔らかめの布で洗って、鍋とかは油がぎっしりだから、砂利で油をおとしたあとに水洗いが基本。
手もとにある順にやっていっちゃダメっていう心得もある。
「水の魔法で――」
「魔力は持つの?」
「ここにあるくらいなら持つよ」
ロットは魔法が使えたようで、水の魔法で洗おうという。たしかに、勢いを凄くするイメージを持てば、手で洗うよりも早い。だけど、ここは飲食店で絶賛営業中。
「ここにあるので全部じゃないから、持たないね。いいあう時間がもったないから、ロットは拭く係りで決まりね」
「・・・分かった」
納得がいってないような反応をされても、絶対に譲らないから。
ちなみに。
私とロット以外にも食器洗いの仕事に来ている。大量の食器を私達2人だけで洗うなんてことは無理だ。
でも、皆洗うことに集中力して私達に見向きもしなかった。目の前にある汚れと戦っているのだから仕方ない。
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――ある日の一幕。
レイヴン『エル』
エル『なに?おねぇちゃん』
レイヴン『ぎゅーってしてくれない?』
エル『ぎゅー?うん、いいよ?』
エル ぎゅーーーー!by.ハグ
レイヴン(癒しだ……♪)




