金髪金眼
私は1度家へと戻ると昼食を食べてからエルを連れて、孤児院に行くのだが、昼が過ぎているこの時間帯はやはり陽射しが強い。私とエルはお揃いのつばの広い帽子を被り、眩しさを遮らせながら孤児院へと向かった。
ちゃんと、昼食は食べてたからね!
「院長さん。よろしくお願いします」
「おねがいします!」
「はい。こちらこそ」
雇い主である院長さんに挨拶を済ませると、私はエルにここの仕事を任せて違う仕事を請け負いに行く。
「じゃあね、また夕方に迎えに来るから」
「いってらっしゃい!」
エルは笑顔で見送ってくれた。
最初の頃は、おばあちゃんが亡くなったばかりで、仕事場であった孤児院に悲しさを埋めさせるために頻繁に越させてもらってたけど、今はお友だちが出来て、来るのが楽しみみたい。
でも、孤児院での仕事が入るのは週に2回から多くて3回くらいしかない。エルがその間に孤児院に来ることはない。いくら道を覚えてても、1人で街に繰り出すのが危ないことだと分かっているのだ。
だから今日はエルにとって、同年代と遊べる日なのだ。
家に帰るまで、いや、帰ったあとも誰と何を遊んだかとか誰が何をして面白かったとかを眠くなるまで話続けるから、私にとってはご飯を食べさせるのに苦労する日でもある。
でも、嫌じゃない。
「あ、ねぇ」
「え?」
エルの事を考えながら次の仕事場へ向かっている最中、私より少し背の高い金髪金眼の男の子が、話しかけてきた。
服の質からしたら平民だけど……首にかけられてるネックレスが明らかに高そう。
ミューカさんの宝石を見て触っていたから分かる。男の子のはあのアクセサリーよりも高いものを身に付けている。
貴族の子に、平民の服を着せた感じに見えてきた。
でも、何で私?
他にも人はいっぱいいるのに……いや、でも、子供はいない。子供の方が話しかけやすかったのかな?
「この辺りに『バルオン』という家名の家はないかな?」
「バル、オン?」
バルオンでこの辺り……
そういえばここは、昨日赤男が連れていかれた近くだ。この国には同じ家名は家族以外では存在しないように、戸籍が管理されてるからバルオンという家名で当てはまるのは今は私とエルだけだ。
もしかして、赤男の仕業?でも、それならなんで貴族の子なんかに……弟とか?でも髪の色が違いすぎる。
「そう。ちょっと届け物があって。どこか知らない?」
届け物……でも……
「知ってても、教えない」
「え?」
「教えてバルオンさんに何かあったら、私のせいになるから」
「・・・」
当たり前だ。自分に届くかも知れない物を、見知らぬ人から受けとるのはあとが怖い。請求とか。
「もう、行っていい?」
家に届いても多分開けないし。お引き取り願いたい。
「え。あ、その。じゃあ、これ、バルオンさんに渡してくれないかな?」
「私、今からお仕事なの」
私は懐中時計を見た。本当に時間がない。
「え。そんなに小さいのに?」
「小さくてもお仕事くれる人はいるよ」
お仕事に小さいは関係ない。出来るか出来ないかが雇ってくれるかの基準だから。それより、話を終えて向かいたいんどけど。
「そうなんだ……あの、もし良かったらなんだけど、ぼくも付いて行っていいかな?」
「……なんで?」
付いてくる?何を言ってるの?
「仕事が終わったあとに、届けてほしいんだ。もちろん、ほうしゅうはあげるよ」
「・・・」
報酬とはどのくらいだろう……。って、報酬に目が眩みそうだった。
この子はきっとあの赤男の使いだから、報酬貰う時に後でまた会うことになる。つまりは、拒否以外の選択肢はない。でも、一応聞いておこう。
「……ほうしゅうは今、持ってるの?」
「持ってるよ。出せるのはくらい」
をくらいと言った。どれだけ裕福なんだ、この子の家は。でも、昨日と同じくらい貰えるなら……いや、でも関わるのは……。
エルの靴買ってあげたいな。
「……分かった」
「いいの?ありがとう」
私は覚悟を決めて承諾した。メリットとデメリット。どちらが大きかったのかは、今後に分かることになる。
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