番外編☆メノマエデ……
「なぁ。ランスロット。知ってるか?」
「?」
『下級特待生のお姉さんが行方不明だったらしいよ』
その話を同級生から聞いたとき、僕はレイヴンの事だと思った。
だから理事長に話をつけて、レイヴンの家の近くへと飛んだ。
転移の魔法は1度も見たことのない場所には飛べないからだ。
この森を抜けた所にレイヴンがいる。
身体強化で森を駆けると、家が見えてきた。
「ここが……レイヴンの家」
俺は乱れた服や髪を整えてから、家のドアをノックした。
数年ぶりに会うのに乱れているのは、印象が良くないと思ったから。
……想い人なら尚更。
すぐ側の窓が開いており音が聞こえた。
レイヴンだと思い声をかけるとやはりそうで、少し待ってくれと言われたので大人しく待った。
――ガチャッ
ドアが開き、レイヴンが出てきてほっとした。
あぁ……無事だったんだ……
僕はそう思うのと同時にレイヴンに抱きついていた。
・・・レイヴンはその事に酷く動揺し、僕を撃退して家へと戻ってしまった。
家のドア越しではあるけれど、反省の意思をちゃんと伝えると分かってくれた。
そして。真相を知った。
間違ってのことだった。けど、弟のミシュエル君が無事で良かった。
話は終わったけれど僕は、久しぶりに会うレイヴンとまだ一緒に居たくて、レイヴンがしようとしていた畑仕事を手伝うことにした。
見慣れないズボン姿のレイヴンについ『似合っている』と言ってしまった。
しかしレイヴンは、畑仕事をするのには着飾る必要はないと告げた。
確かにそうだと思った。
『耕す』というのは知識で知っていたけど、やったことはなかった。
レイヴンに手本を見せてもらう。女の子とは思えない勇ましさに感動した。
僕もやってみるが、やると結構な運動になることを知った。それに慣れてくるとなかなかに楽しい。
そのあと。レイヴンが畑に水を撒いている時に見聞きしたことに驚いた。
レイヴンの魔法の現れかたが聖女特有のものだったということ。それに聖女適正試験が僕らの婚約者探しだという、間違えの話。
聞けて良かった。
これから改善は出来るから。
レイヴンはミシュエル君の迎えに行かなければならないということなので、僕も帰ることにした。
「ロット、クワ持ってて」
「どうしたの?」
「屋根なおしてくるから」
「分かった」
どうして僕はその時思いださなかったんだ。
レイヴンの魔法の使用範囲が大きくなっていたことに。
「浮かんぇ――――っっ!!!」
レイヴンは僕の目の前で空へと舞い上がった。
使用範囲が広くなったことで威力も増したのだと思う。
レイヴンは舞い上がったがすぐに魔法を使えば安全に降りられる高さだ。
例え威力が増していたとしても僕がフォローすれば良いと、ただただレイヴンを見てしまっていた。
見てしまっていた時間が悔やまれた。
レイヴンが魔法を使わないのだ。そのままレイヴンは重力にしたがって落ちてきている。
僕は両手に持っていたクワを投げ捨てて、レイヴンの落下地点へと身体強化で向かった。
距離的にはそんなに離れてはいなかったが、そのまま走っていたら間に合わないと直感したのだ。
その直感は当たり、レイヴンが僕の胸元に落ちて来たのは落下地点についてすぐだった。
――ドサッッ。
胸元と背中、頭に強い痛みを感じた。
それはそうだ。
身体強化はあくまでも身体的能力の向上をするだけで、衝撃などには対応してない。
僕は落下の衝撃全てを受け止めたのだ。
でも
良かった…
レイヴン
ケガはなさそうだ……




