ベーカリーポール
一週間連続掲載……いや、いやいや、まだストックが切れないだけだから!
ミューカさんに頼まれた洗濯、掃除、アクセサリーの手入れを終えると、ミューカさんの家の鍵を外から掛けて、ミューカさんの仕事場であるパン屋さんに向かった。
「ミューカさん、いらっしゃいますか?」
「ミューカ!レイが来てるよ!」
このパン屋さんは『ベーカリーポール』というお店で、ミューカさんを呼んでくれたのは、店主のポールさん。
自分の名前をそのまま付けるのも良くあることだ。
「レイちゃん!お疲れ様っ」
お店の奥から出てきたミューカさんは笑顔でお礼を言ってきた。
「いえ」
「今日もお金じゃなくていいの?」
私はミューカさんからはお金ではないものを貰ってる。
「はい、いつもので大丈夫です!」
「なら今持ってくるわね」
『いつもの』とは、ポールさんのお店で売られているジャムのことだ。
瓶に入ったストロベリーやオレンジを煮詰めた物で、とっても美味しい。
それを働いているミューカさんは、売値より少しだけ安く買えるという事で、お金ではなくジャムを貰うことにしている。瓶も同時に手にはいるから。
「レイ。明日が定休日だからね。ほら、持てるかい?」
「はい。持てます」
ポールさんがくれたのはパンの耳だ。
定休日が翌日にない日は、パンの耳も砂糖を絡めて焼いてある売り物として売られているけど、定休日前だとそれがない。
つまりはパンの耳も余る。
ミューカさんとのやり取りを聞いていたポールさんからの提案で、貰えることになったのだ。
「お待たせ。はい。ジャム」
「ありがとうございます!」
ミューカさんからストロベリーのジャムを受けると、持ってきていた鞄にしまった。
「こちらこそよ~。レイちゃんは午後もお仕事?」
「はい」
「・・・本当なら学校に通っていても良い年頃なのに……」
ミューカさんは少し目を伏せて、悲しげに言う。
この国では6才から最大6年間、最小1ヶ月小学校に通うことが出来る。入学金と試験をクリアすると、1学年から6学年のランクに分けられて授業を受けられる。
入学金は約20万デル。年間費は30万デル。そんなお金はないから私は通っていない。
頭の良い人を全て無料で通わせる『特待生制度』があるらしいが、年に7人だけ。ノートや教科書なども支給されて通える。
しかし、月に1度のテストで必ず規定の点数を取らないと、即退学らしい。
だったら、最後の6学年だけ通ってみた方が得。そこまでにはお金も貯まっているだろうし。
でも、エルはちゃんと通わせる予定だ。もちろん。特待生として。出来るなら普通に通わせてもいいけど……私が頑張らなきゃ。
「大丈夫です!民間のとしょかんで、本を読んでるので」
学校へ行かなくとも勉強は出来る。
「お友だちは?」
「こじいんの子が何人かいます」
友達と呼べるかは正直、分からない。孤児院は仕事でしかいかないから、顔見知り程度だけど、子供の友達基準は分からない。
友達になろうと言われたことないし。・・・あれ?私、もしかしなくても、友達いない?
「そう……辛くなったらいつでも私達を頼ってね」
「はい。あの、そろそろ行きます」
頼ってといつもの言ってくれる優しいミューカさんに、友達がいると嘘を付いた形になってしまって、気まずくなった私は、帰ることを伝えた。
「引き留めちゃったみたいでごめんなさいね」
「そんなことないです!それじゃあ、また」
「えぇ」
私はミューカさんとポールさんに別れを告げ、店の外に出ると1度家へと戻った。
今日は陽射しが強いなぁ……
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