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2 二人と朝の騒動と

注意事項


・ソフトですが性的表現があります





 この時、彼の方は、さてどうやってヤるかと


 本当はそれしか考えてなかったのに……



 当てが外れた。



 滅茶苦茶、外れた。



 正直シャレなってねえってくらい外れた。



 超ガッカリだった。



 今晩は一晩寝かさないぞーってくらいの意気込みだったのが。


 完全に萎えた。




 異世界に落ちて来て、命の危険を背負いながら戦い続けて。


 数年間の苦労の末に、まとまった金を掴んで。


 最高級クラスの女奴隷をゲットして!



 これぞ男の夢、ハーレムの第一歩!


 いや正直言うと、こんな元貴族とかいう超美少女をモノにできるなら!


 別にハーレムいらないかなって思うくらいの子なのに!


 本気の一目惚れで、全財産吐き出して、無理して買ったのに!




 ここに来て実は中身は日本人でした、は無いだろう……


 いやそうであったとしても今は自分の奴隷であることは間違いないから。


 そういう扱いしても問題ない。



 ああ、確かに無い。


 彼女はこれから生きていくためには全面的に自分に依存するしかない。


 だからヤっても良い、問題無い。


 問題無いとかいう以前にヤりたい。



 しかし


 同郷の人間にやっと会えたと泣いて縋りついてきた少女が


 泣き疲れて眠ってしまってるのを



 無視して、やれるほど、彼は鬼畜では無かった。



 俺はそれほどの鬼畜じゃない、紳士だ!


 と思うものの。



 めっちゃ柔らかい


 すげえ良い匂いがする


 腕の中にすっぽりおさまるほど小さくて可愛い


 スラリとしか形の良い脚がほとんど丸見えになるような


 露出度の高い、女奴隷の衣装なのも目の毒だ。


 下着は、これ、つけてないんじゃねーか


 胸元にぎゅっとしがみつかれてるから、腹のあたりに胸の感触が!


 結構しっかりと、あるのが分かる、まだ若く芯に硬さを含んだ膨らみが!


 巨では無いが、並はある、貧では無い、将来性を考えると巨になるのでは



 これまで商売女を買ったことは何度もある


 結構、高いのも買ったことある


 でもそういう類の、慣れてる女性と、全然違う!



 保証書付きの処女、全く男に慣れてない美少女!


 しかもこれから俺に頼って生きるしかない俺専用の奴隷美少女!


 やべえ、最高過ぎる、今すぐ押し倒して全身を隅々まで蹂躙したい……!!




 やろう、やっちまえ


 いやダメだ、待て


 二つの矛盾する思いが頭の中で渦巻く。



 彼は、なぜ葛藤するのか。


 今すぐに押し倒さないのか。


 自分で自分が分からなかった。




 実はその理由は簡単な話……



 異世界に落ちて来て、絶対的な孤独の中で


 苦しみ続けて来たのは彼も同じだったから。



 同郷の人間に初めて会えて


 絶望の孤独が癒されたのは彼も同じだったから。



 会えて、話せた


 見つかった


 自分は一人では無かった



 それが分かっただけで


 心底、満たされた


 満たされてしまった



 性欲なんぞよりずっと深いところが満たされたのだ




 そしてそういう自分自身に気付くことも無く


 ひたすら肉欲と葛藤を続けながら、彼はそのまま一晩明かしてしまった




 徹夜した、空が白んできた、鳥の鳴き声が聞こえる……



 緊張した状態、不自然な体勢で徹夜した重蔵の理性は衰えつつあった。



 俺は紳士だ


 紳士だけど



 でもこの子、間違いなく俺の奴隷だし



 でもでも、もう朝になってしまったし



 いやしかし



 脱がすくらいは良いのでは無いか?




 うむ、既に明るくなりつつある


 この世界の人達の朝は早いから、もう皆が起きつつある時間帯


 さすがに今からやるってわけには行かないが



 でも脱がすくらいは良くね



 見たいんだ


 見るくらいはいいだろ




 重蔵は慎重に少女の体をベッドに寝かせる。


 胸元にしがみついた手を剥がすのに苦労した。



 なんとかおとなしくベッドに仰向けになって寝てくれた。



 あらためて少し距離をとって全身を眺める。



 しかし……


 いや、本当に……



 奇麗な子だな……




 密着して肉体を肌で感じてたら性欲が掻き立てられたが


 こうして少し距離をとってしまうと



 どうも、どう見ても、美少女ではあっても、しかし


 少女だな……


 中学か高校かって年齢にしか見えない



 もちろん重蔵も実はほぼ同年代少し上くらいであるわけだから問題ないし


 この世界の基準で言えば十代半ばって普通に結婚適齢期である



 この世界の基準と言うならば、この子は奴隷であり自分が買ったのだ


 ナニやったって合法であり問題ない



 だが日本人としての基準でいうならば


 未成年ぽいこの子にあれこれやるのは明らかに犯罪だと思う



 犯罪だと思うけど、裾がまくれて太腿が良く見えるのが気になる


 この世界はよくある中世風世界なので女性の露出度は低い


 スカートは足を全部覆うくらいが当然だ


 太腿が見えるような服装など、娼婦か女奴隷くらいしかしない



 さらに上もまくれてお腹が、おへそが見えてるのも気になる


 すっげえ気になる


 あと少しまくればおっぱいが見えそうなのが気になる



 この子の服装はこの世界基準ではほぼ下着だけみたいなもんであって


 こんな格好で男が寝泊まりしてる部屋に入れば相応の目にあって当然である



 そう、当然である



 あと、少し、まくれば、おっぱいが見える……!


 うっわ、至近距離で見ると、腰、ほっそい!


 脇腹の肋骨が少し浮いて見える


 全体に細く、痩せてるけど、病的なほどではない



 肌は透き通るほど白く滑らかで繊細で


 意識が吸い込まれる……



 匂いを感じる距離まで近づくと、タガが外れた


 上をこのまままくって、まずは胸を……



 ってところで、あきらは目が覚めた




§   §   §




 ご主人様には嫌いなところがたくさんありますが……


 その中でも特に一番嫌いなのは



 やっと日本人に会えて、ほっとして眠っていた私が!


 寝てる間に、服を脱がそうとしてたことです!



 すごくショックでした


 やっと日本人に会えたと思ったのに


 安心してたのに、信頼したかったのに!




 状況を把握すると、私はまず大声で悲鳴を上げました


 さらに部屋の隅に逃げて


 逃げながらそこらじゅうにあるものを片端からご主人様に投げつけました!



「いやああああああ!


 やだああああああ!


 きゃああああああああ!!」



 朝方の宿屋全体に私の悲鳴は響き渡ったと思います。


 ものすごく……近所迷惑だったと……思います……



「すまん! 悪かった! ちょ、ちょっと!」



 ご主人様は謝りながらこちらに近づいて来ようとしていました。



 後になって冷静に考えれば


 ご主人様はいきなり暴力を振るうような人では無いので


 そこまで騒ぐことは無かったのですが




 でも私はいきなりの異世界転移、おまけにいつの間にか体も変わって


 さらにその後、一年にわたって女奴隷としての教育と調教


 オークションで売られたと思ったら買った人が日本人


 この世界に来て初めて安心して眠れたと思ったら……



 色々と、立て続けにあって、冷静さを失っていたことは間違いありません



 ご主人様は2mくらいある大男で、ゴツくて、迫力があるのです


 初対面の子供とか絶対に泣きます


 そんな大男に近寄られるだけで恐怖です



 恐怖の余り、私の精神はかつてないほど研ぎ澄まされて……


 目の前が真っ赤になったような気がしました


 私は無意識に、両手を前に突き出して、その掌に集中し……



「来ないで!」



 叫ぶと同時に、掌の前に、巨大な炎の塊が出現しました!


 直径1メートルくらいありそうな渦巻く炎です!



 ただでさえパニック状態だった私ですが


 いきなり目の前にそんなものが現れてさらに悪化!



 頭の片隅の、どこか冷静な部分で


 なんとなく、理解していました



 感情の勢いのまま暴発しそうになっている……


 これ、危ない、制御が全く出来ていない……



 その時、ご主人様が叫びました



「やめろ! その炎を消せ!!」



 誤解しようがない、明確な形での、命令でした。


 その命令を聞くと同時に



 私の首に嵌められた、「奴隷の首輪」が機能を発揮します!


 自分では意図してコントロールとか出来ない炎の制御


 首輪から発せられた魔力が私の肉体を強制的に操作!


 私が無意識に発していた魔力をシャットダウン、迅速に炎は消えました!!



 でも、体内の魔力を暴走させて炎の塊をいきなり発生させたのも無茶なら


 その流れを強制的に中断して無理矢理、炎を消してしまうのも無茶でした


 私の肉体にひどい負荷がかかります



 全身に、殴られたみたいな激しい衝撃が走り、硬直


 さらに酷い倦怠感……立っていられない、貧血みたいな状態になって


 その場にペタンと座り込んで、動けなくなってしまう私。



 沈黙の一瞬


 目の前が暗くなって、よく見えませんが


 ご主人様がこちらをじっと見ているのは分かります



 しまった、やってしまった……



 せっかく買ってくれたのに


 大迷惑をかけてしまった……



 覚悟、してたはずでした


 何を、脱がされそうになった程度で大騒ぎ……



 乱暴に犯されても文句言えない奴隷の分際で……


 しかも助けてくれた恩人


 やっと会えた日本人だったのに……



 自分で台無しにしてしまった



 きっと、また、売られてしまいます


 今度こそ娼館行きでしょう


 不特定多数相手とか本当は嫌です、嫌ですが……



 この世界では食べていける当てがあるだけで幸福なのです。



 仕方ないですね……せっかくみえた希望を、自分でダメにしてしまったのだから




 とか、くよくよと考えているヒマがありませんでした。



「うるせーぞ! 朝っぱらから盛ってんじゃねえ!!」



 宿屋の人達が怒鳴り込んできて


 ひどい状態の部屋を見て



 私はご主人様と二人、宿から叩き出されました……




§   §   §




 失敗だった、大失敗だった。



 ていうか我ながら最低なことをしようとしたと思う。



 泣いて寝てる女の子に悪戯しようとするとは……!




 ちょっと自分自身の最低さに幻滅してしまう



 宿屋から叩き出されて冷静になると、後悔ばかりが湧いてくる。




 しかし、さっきの彼女……


 長く赤い髪が、さらに燃え立つように輝き


 さらに目の色が、赤く輝いていたように見えた



 ファンタジーだなあ……とか暢気に思った



 現実ならありえない色の変化に、炎の魔法



 同時に疑問に思った



 どうしてこの力があって、奴隷になってたんだ?




 俺こと黒木重蔵は、この世界に来て、生きるために、冒険者をやっている。


 俺自身は防御寄りの重戦士


 一番、金をかけてるのは盾。巨大な方形の盾を持っている。


 武器は片手持ちの打撃武器……メイスとかフレイルとかである。


 いや、俺もね、せっかく異世界に来たんだから格好良く日本刀とか


 あこがれはあったんだけどね



 ギルドの指導員とかにアドバイスを聞くと


 剣は、小さい頃から訓練を積んでないと、まず、モノにならないと


 貴族とか騎士とかは物心ついたころから剣で素振りしてるもんだと


 そういう経験がない人間が、俺くらいまで大きくなってから剣を学ぼうとしても


 効率悪い、やめた方が良いそうで



 下手に刃のついた剣を巧みに振り回そうとしても絶対うまくいかない


 それよりむしろ棍棒の方がマシであるとのこと


 大体、剣はどうやっても刃が欠けるし手入れにも専門知識が必要


 維持費も嵩む、悪いこと言わないからやめておけ……



 まあ実際、言われた通りであった


 この世界に来て、俺は明らかに力は強くなっていたのだが……


 どうも純粋にパワーだけしか上がってない感じなんだよな


 スピードとかテクニックが上がったわけじゃない


 だから力押しで、重い打撃用の武器を振り回す


 これが結局一番、合っていた



 大盾を持ち、身を固め、敵の攻撃は受け止める


 受け止めた上で、殴り返す


 このスタイルしか出来なかった



 華麗にテクニックとかスピードで倒すとか、無理でした。



 でまあ、防御寄りの重戦士であるから、ソロ活動には限界があり


 色んな冒険者と組んで来た


 俺みたいなタイプもパーティに一人は必要なんだよ


 全体の「壁」として働けるタイプ、前線に立ち危険度も高い


 だから組むのも結構、簡単だった。




 その過程で、魔法使いってのも見たことがある



 戦士系よりもレアな職業である。



 物理攻撃がほとんど通用しないモンスターとか、やっぱりいてね


 そういう相手に魔法使いは必須だった



 そして、俺が見て来た魔法使いの攻撃力と比べてだな



 どう見ても、この子の方が、強そうに見えるんだが……



 無詠唱で、いきなりあの大きさの炎を作り出す


 これって結構凄いことであったはず



 まあ魔法は才能無いと初期に分かった後はバッサリ切り捨てたので


 専門知識無いから正確には分からないんだが……




 考えるべきことは多いがしかしそれどころではない



 俺は、彼女を買うのに、実はほぼ全財産を使ってしまった



 庶民がつつましく暮らせば十年単位で暮らせる額であった


 後悔はしていない


 こんな美少女を自分のものにするためならあの程度惜しくない!



 惜しくないが、しかし金が無い!



 これからは彼女を養わねばならないことを考えるとさらに足りない!


 ていうか、この子、今着てる服以外の持ち物とか無いよな……


 身の回りのものを買い揃えるだけでも出費が……




 いや待て、そういえば、昨日の夕方くらいに宿に連れ込んでから……


 確か、飯を食わせていない


 いやメシどころか、お茶の一杯も飲ませてないような……




 俺はいいよ、数日飲まず食わずでも耐えられるくらい頑丈だ


 でもこんな華奢な女の子に、こんな真似したらダメだろう……



 どうも思ったより浮かれて、冷静に思考できていなかったらしい



 まずメシを食わせる


 あと服もこんな下着同然の奴隷衣装が一着だけでは話にならない


 ある程度まとまった数、購入する必要があるだろう


 それに魔法使いの素質があるようにしか見えないから


 最低限の魔法使い用の装備を揃えねば


 基本呪文講習の申し込みも必要だな


 それ以前に冒険者ギルドに登録を


 この子が魔法攻撃してくれれば、俺の攻撃力不足を補えるかも


 防御は自信ある、つまり俺が守って彼女が攻撃するスタイルになるかな


 安定すればペアでも結構いけるかも


 少なくともソロよりは遥かに効率良いだろう



 夢が広がる



 しかしそれにつけても



 先立つものが無い……





 なんか適当なクエストこなして当面の金を稼ぐしか無いかな……









アキラの魔法能力が発動しなかった理由はまた後で

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