最終話:禁軍将婚姻譚
花嫁じゃ、花嫁じゃ
どこのどなたの花嫁じゃ
東極将の花嫁じゃ
花婿じゃ、花婿じゃ
どこのどなたが花婿じゃ
東極将が花婿じゃ
さあさ、祝え、皆祝え
花持て、酒持て、皆祝え
鐘持て、笛持て、皆祝え
めでたや、めでたやご成婚
はれのよき日のご成婚
万歳、万歳、万々歳!
天に棲まう神々の
若き夫婦に加護賜え
ふたりの道に幸賜え!
* * *
あれから五年。
乾抄は再び戦火に見舞われる。隣国三国に攻め込まれ、乾抄は禁軍州軍すべてを投入する大戦争へと発展する。
国の存亡を賭けた戦いの最中、ひとりの女性の提言が、乾抄の女を立ち上がらせた。
国が滅ぶくらいなら。
奴隷となるくらいなら。
子供を守れるというのなら。
兵となることを厭わない。
男とともに戦おう。
乾抄の軍史に残る大転換。女兵士の誕生である。
その甲斐あって乾抄の兵の数は倍増し、戦は激化をたどるも、乾抄はじりじりと戦況を盛り返し始めることとなる。
その中に、異彩を放つ兵ふたつ。
仮面の将軍と、その脇に立つ女兵士。その二兵の戦いぶりは厳しい戦局をことごとく覆す。
敵に畏怖を、味方に鼓舞を。
誰もが乾抄の敗北を信じて疑わなかった大戦。長い年月を費やすも、ふたりは乾抄を勝利に導くに至る。
とある男女が結ばれてより三十年。
大戦をきっかけにして戦乱の世が始まるも、これを制し、大陸統一を果たした乾抄は、国号を駁と改める。
後に人々は謳い継ぐ。
乾抄に軍神ふたつ。
ひとつは雷、乾抄の蚩尤。
ひとつは焔、蚩尤の花嫁。
後に人々は語り継ぐ。
波瀾を生きた幸せな夫婦の物語を。
お付き合い下さいましてありがとうございました!
2015.09.10 改稿




