残業には要注意!
ありきたりな話です!ヤンデレを書きたかったのに……ヤンデレ好きの方、嫌いな方すみません(土下座)そしてもっとエロい感じを出したかったんですが断念。わたしにゃ無理だと知りました。
これが今流行りのヤンデレというものなの?
誰か教えてぷりーず。
いや、あんたに聞いてないわよ!
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あ゛~まじ疲れた帰りたい寝たいゴロゴロしたい。
なんで花金に残業なんてしてんのよ私。
ほんと自分がかわいそすぎて泣けてくるわ。
現在夜の9時。
そんな時間まで仕事してる酔狂なやつなんて私ぐらいで、薄暗いフロアにはパソコンを前にした私が一人ぽつんといるだけ。
たまに警備の人がご苦労様ですーなんて言って見回ってるくらい。
そーだよねー。明日は休みだもんねー。飲みに行っちゃうよねー。私だって、こんなことさえなけりゃ今頃は家で日本酒片手に大好きな海外ドラマ観てたのに……!なんで私がこんな目に!それもこれもぜーんぶあの女のせいだーー!!
*・*・*
確かに最近は忙しかった。
新しいプロジェクトが来週から始動し始めるからその最終調整やら、来期に行われる取引相手との合同企画の準備やらでうちの課がてんてこまいだったのはわかる。
だけど、いや!だからこそミスしないようにいつもより念入りにチェックはしてたし、課長も檄を飛ばしていた。
なのに、なのに……
あの女はまんまとミスしやがりましたよね!
しかも元の計算式まで消しやがって!!
あんた新入社員でもないのになんでこんなミスやらかすの!?自分でなんとかしなさいよ!!
……とは言えず、(だってExcelの関数出来ないの知ってる。それを覚えようともしてないこともな!)上目遣いでこちらを見てくる彼女に、
「計算式は作っておくからあとは入力し直してね。」
とだけ。説教してる時間がもったいないし、どうせ私は怒れない人間だからな!
「ありがとうございますぅ~でもぉ、今日は用事があるので定時であがんなきゃいけないんですよぉ。終わらなかったら宮田さんやってくれますかぁ?宮田さんならあっという間だしっ。」
あがんなきゃ「いけない」ってなに!?自分のミスなのにそれさえも人に押し付ける気なのこの子!?あんた会社に何しにきてんのよぉ!!
と愚痴は心に留め、了承の返事だけしておく。
……残業確定だわ。
*・*・*
「あんたいいように使われてんねぇ。しかも後輩に。」
と辛辣な言葉を笑いながら掛けてくるのは同期の仲間。
わかってんのよ私だって。ちゃんと注意とかしてあげた方がその子のためだってことぐらい。
でも昔っから波風立てないように、人の顔色を窺いながら生きてきたから無理なのよ。それにあーいう子は言ってきかせるより、自分でやった方が早いと思っちゃうじゃない?イケメンならすぐ言うことききそうだけど。なんせ、会社には男漁りに来てますって自分で宣言しちゃうくらいだし。こんなんでよく社会人やってけてるわよね。
「あの子の用事教えてあげようか?海外事業部と合コンなんだってよ。しかもあの四宮つき。」
だからか。なんか変に納得しちゃったわ。
海外事業部の『四宮 誠司』といえば知らない人はいないっていうぐらい時の人だ。
社会人はまだ2年目だけど、その手腕は確からしい。先輩たちにひけをとらないとか。仕事出来るだけでも将来有望なのに、顔がこれまた良い!
今時の若者っていうの?(こう言うと自分が年とったみたい。3・4歳しか変わらないはずなのに…!)中性的な甘い顔立ち、笑うと見える八重歯、二重瞼から見える目はキラキラしててその目に写りたいという女子続出。背も高く、でもひょろっとしてない細マッチョ系。(見た訳じゃないよ!?夏服になるとわかるじゃん!)性格も優しげで、穏やか。女の子にモテるけどそれを鼻にかけたりせず、むしろ男友達とじゃれあってる姿の方がよく見かける。
私も仕事の都合で話したりするけど、笑った顔とかはにかんでて可愛いもんな。いや男に言うセリフじゃないけど。
あのミス女も四宮と同期だけど、研修とかで一緒にならなかったからなんとか接点持とうと必死なんだねー。大変だー。(棒読み)
「私もなるべく手伝うから。今日アノ日でしょ?」
と同期の友人ほのかは言ってくれる。
ちなみにアノ日とは海外ドラマの日だ。花の金曜日に女独りでドラマ観ながら酒つまむとか哀しすぎるとほのかがぼかした気遣いの言葉(余計なお世話じゃ)決して怪しくはない。
「いーよ。どうせ終わんないかもーって思ってたし、今日彼氏と会うんでしょ?」
と言うとほのかはエヘッと笑いやがった。チッリア充め。
*・*・*
そんなこんなで就業終了時刻。私は集中してパソコンと向き合ってたから気づかなかったけど、あのミス女はちゃーんと時間通りに上がったらしい。
……仕事は終わってないみたいだがな!
その残りをほのかから受け取りつつ、(私が殺気を放っていたらしく声を掛けられずにほのかに頼んだそうだ)さっさと仕事を終わらせるべくもう一度パソコンを睨み付ける。あともうひと踏ん張り!
「じゃぁ郁子、私もう行くけどたまには一息入れなさいよ?眉間にシワ寄りすぎて取れなくなるよ!」
うっさいわぁー!人が気にしてることを…!
でもほのかのおかげで肩から力が抜ける。なんだかんだで心配してくれてるのだ。この友人は。
「一言余計だわっ!いーから彼氏とイチャイチャしといでー」
と手を振って見送る。
「あんたもねー」
彼氏いないの知ってるくせにそーいうこと言うんだから。優しさ感じたの間違いだったかも。
そして気づけばこんな時間に。
もうすぐ終わりだし、なんか飲み物でも買って来ようかな。と席を立つ。
*・*・*
戻ってくると薄暗いフロアに人影が。なんか忘れ物でもしたのかなーと近寄ってみると……
「あれ?四宮くん何やってるの?」
そう。合コンに行ってるはずの四宮がいた。しかもなんかゴソゴソ音がするんだけど。
……えっ。それ、私のバッグだよね?
「あっ、宮田さんお疲れ様です。こんな時間まで残業なんて大変ですね。」
といまだに私のバッグを漁りながら普通に声をかける。
ちょっおかしくない!?
「あぁ、うん。ちょっとミスしちゃって…。それより四宮くん何やってるの?合コンは?」
同じ質問を繰り返す。いいからその手を退けろ!
「合コンですか?酷いですよねぇ。俺、宮田さんが来るっていうから行ったのに、宮野さんと間違えるなんて。一杯だけ付き合って抜けてきました。」
宮野とはあのミス女だ。
「そうなんだ…。ところで…」
「そん時変な話聞いちゃって。なんか宮野さんたちが言うには、宮田さんは彼氏がいるって。今日もその彼氏と会うんじゃないかって。でも1ヶ月前に別れたはずですよね?」
確かに別れた。2年付き合ったし、そろそろ結婚とか考えなきゃーって思ってたところに浮気発覚だ。
なんでも、よく行く飲み屋で何度か偶然会って意気投合したらしい。そのまま男女の関係になって私は振られた。でもなんでそのことを?会社では仲の良いほのか達ぐらいにしか言ってない。後輩に知られるのは私の見栄が許さなかったから。
「そうだけど…」
「やっぱり!あ~よかった。俺の知らない間に新しい男が出来るわけないですよね。『ずっと見てた』んだし。」
その言葉に悪寒がはしった。
「ずっと見てた」ってなに!?まさか…
その時ずっと私のバッグを漁り続けてた四宮が「あった!」と嬉しそうに携帯を取り出した。私の。
「変なとこに携帯しまってるんですね。見つけるの苦労しちゃった。」
「か、返してっ!」
さすがに怖くなった私は携帯と取り返そうと四宮に手を伸ばすも…
「ダーメ。疚しいことがないなら見られても平気でしょ?ちょっと静かにしててねー。」
と言われそのまま口にハンカチをあてられ気を失った。
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「んっ…」
肌寒くなって布団を引き上げようとする。
……?手が動かない。それになんか首筋がくすぐったい。
重たい瞼を無理矢理開けると人の頭が。
えっに!?
「やっと起きた?あのクスリ効き目ありすぎだね。」
と顔を上げた男は甘い顔立ちに蕩けそうな笑みを浮かべてる。それを見て気を失う前のことを思い出し身を捩ろうとするけど、
「無駄だよ?手縛ってるし。」
「な、なんでこんなことっ!」
「なんでって、郁子を自分のものにするために決まってるでしょ?俺ってほんとバカだよねー。悠長に少しずつ囲もうなんて。最初っからこうすればよかった。」
四宮は話始めた。自分がどれだけ私のことを好きか。好きになった経緯やらどうやって元彼と別れさせようか。さらには私のことをもっと知りたいとかでずっとつけまわしていたこととか。
ちょい待てぇぇ!それってストーカーじゃん!しかも元彼が浮気するきっかけもあんたが作ったんかい!今すぐ警察行け!
「ストーカーなんかと一緒にしないでよ。俺は郁子が好きなだけだよ。見てるだけなんて我慢出来ない。その目にうつっていいのは俺だけだよ。その声を聞いていいのも俺だけ。これからは俺だけを見ていて?俺も郁子だけしか見ないから。そしたら二人で幸せだね?」
いーーやーー!無理無理無理!!私はあんたなんか好きじゃないんだー!はーなーせー!
と暴れていたら体からなんか出てくる気配が…
「あぁダメだよ暴れちゃ。せっかくおさまってたのに出てきちゃうでしょ?郁子なかなか起きないから、3、4回ぐらい出しちゃった。でも郁子も気持ち良さそうだったから大丈夫だよね?」
出しちゃったって…!なんじゃそりゃ!ふざけんなぁ!
といってる間にも身体をまさぐられ…
「さぁ続きをしよっか。もう絶対離さないから。明日は俺と郁子の両親に挨拶しに行こうね。あぁでも郁子は起き上がれないかもね。」
とクスクス笑い出す男を見るしか出来ない私。
なんでこうなった!?誰か教えてぷりーず!
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