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海と空と水平線

作者: 狐依コン

蝶尾出版社様の「海」テーマの1000字小説募集に応募したワシの作品じゃ!



 ワシは旅行に婆さんと行くことにしたのじゃ。ワシも歳をとったし、あまり遠出も難しいという事で、バスと電車で楽しむことにしたのじゃった。

 そこは若者で溢れておった。男は半裸、女も薄着、そう『海』じゃ。夏の海は活気に溢れておったのじゃ。

 ワシは婆さんに尋ねるのじゃ。

「あの日言ったことを覚えておるかのう?」

 すると婆さんは笑って答えたのじゃ。

「海と空はあの線で繋がっている、でしょう?」

 ワシは目を細めて水平線を見つめたのじゃ。ワシらのように空と海は繋がっておるのじゃ。

「ワシが空で、お主が海じゃ」

 すると婆さんは首を横に振り言うのじゃ。

「私が空で、あなたが海ですよ」

 海は空の機嫌次第で穏やかだったり、荒れてしまったりするのじゃ。少しの風で海模様は変わるのじゃ。

 じゃからワシ次第で婆さんが穏やかだったり荒れると言いたいのじゃが、婆さんは彼女次第でワシが穏やかだったり荒れたりすると言いたいのじゃ。

 そんな事はないと言いたかったが、婆さんは有無を言わさず続けるのじゃ。

「私はあなたから沢山の物を吸収して、そうしてあなたを導きもしてきたのですから」

 確かにのう。海から吸い上げられた水分が雲になり、海の指標を決めるのかもしれんのじゃ。

 海の青さと、空の青さは違うのじゃ。それでもあの水平線で繋がっておるからのう。

 ユラユラ揺れる海にワシの想いを乗せて、いつまでも賑わう海辺を傍目に、海と空を見つめ続けたのじゃった。

「バカヤロー!」

 ふと大声がしたのでそちらに目をやると、大声で海に向かって叫んどる人達がおったのじゃ。

「ふふっ、若いですね」

 婆さんが笑っておるのでワシも笑うのじゃ。そういえばそんな文化もあったよのう。

 きっと若者たちの心を乗せた声は海に吸収されていき、空へと昇って、いつか幸せとなって返ってくるのじゃ。今はスッキリするがよいじゃろう。

 海水浴場を後にしたワシらは海の近くのホテルで夜のキラキラした海を眺めながら、恐らく最後になるだろう旅行を楽しんだのじゃ。

「なぁ婆さん」

 ワシは笑いながら言うのじゃ。

「やはりお主が海じゃよ。こんなにも綺麗なのはお主にしか合わんわい」

 すると婆さんは笑うのじゃ。

「私は星空の方が似合いますよ、綺麗な海はあなたに譲りますよ」

 そうやって譲り合って笑い合ったのじゃった。

これを読んで小説書きのワシの事を知ってもらえると嬉しいのじゃ。この物語はフィクションじゃ!狐依コンの冒険の物語の、ワシの転生前の裏話みたいなものとして書いてみた側面があるのじゃ!狐依コンの冒険もよろしく頼むぞい!

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― 新着の感想 ―
年を経てもキラキラの恋ですね。 お互いに相手のことを思いながら語る、海と空の例えが良かったです。 ……そして、真っ赤に溶けた太陽が海の向こうに沈んだあとは、海と空の境は見えなくなって、ただ星と月の…
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