お"クレーマー"様は"神様"ですから。
息抜きのつもりで書いてたら止まらなくなってしまいました。一気に書き上げたので変なところがあったらご指摘お願いします。
ここは何処にでもあるような普通のレストラン。午後12時半、客足がピークに達したこのレストランは大混雑。そんな平和な場所で大声を上げる迷惑な客が…
「おい!まだ飯来ねぇのか!」
「大変申し上げございません、お客様。ただいま、店内が込み合っていて、お時間を頂いております。」
働き始めたばかりのバイトのような店員が頭を必死に下げて謝罪をしている。黒髪で毛先は赤のグラデーションという奇抜な髪色は何度も揺れ動いている。
「俺達の次に来たあいつらの飯はもう来てるのになんで先に来た俺達の飯はまだ来ないんだぁ?」
ガラの悪い三人組のうち、頭に剃り込みを入れたグラサン男が店員を問い詰めている。その隣に座っていた金髪スカジャンの男がタバコを吸い始めた。
「あっ、お客様。店内は禁煙となっていまして…」
「あぁ?こんなに待たせておいてタバコも吸わせねぇのか?」
「どんだけ客に厳しいんだ、この店はよぉ!?」
店員は必死に頭を下げながらも禁煙であることと他の客に迷惑であることを伝える。
「ですが、そういったルールですので…他のお客様のご迷惑になってしまうので、そういったことは…」
「おい、店長呼んでこい。お前じゃ話にならねぇ」
そう言って向かいに座っていた三人組のリーダー格のようなニット帽の男は、店長を呼ぶように催促した。
「…店長を呼んできますので、少々お待ち下さい。」
◇◆◇◆◇◆
「店長、お客様がお呼びです。」
その店員は厨房へ入り、店長を呼ぶ。
「クレーム聞こえてたよぉ!もう、なんだってこんなことに…」
調理をしていた気の弱そうなおじいさんの店長は調理を他の従業員に任せて、あたふたしながら店員のところへ駆け寄る。
「鬼ヶ島君!なんでそんな素直に僕呼んじゃうかなぁ!?」
鬼ヶ島と呼ばれたクレーム対応をしていた店員は頭を下げる。
「すみません、店長。」
「あーもう…こんな目に合うなんてぇ…!」
鬼ヶ島と店長はこっそりとクレームを入れてきたガラの悪い三人組を見る。
「なにあのガラの悪い三人組はぁ!もう!大体、お前はロクに仕事も出来ない上にクレーム対応すら自分で出来ないのぉ!?」
「すみません。」
「すみませんじゃないよぉ!もう、お前はクビ!」
そう言われた途端、鬼ヶ島は店長の足にしがみつく。
「そ、それは困ります…」
「困るのはこっち!お前のせいでこの店の評判が落ちるんだよ!」
と言い合っていると、金髪の男が
「おい!まだ店長来ねぇのか!何もかも遅えなぁこの店は!」
と叫びながらタバコを吸っている。他の客は黙って料理を食べ続けている。
「くぅ〜、もう、腹を決めるしか…この道40年!男、大川為夫!出る!」
◇◆◇◆◇◆
「た、大変お待たせいたしました〜、お客様〜」
「おい、お前が店長かぁ?」
グラサン男はギロッと店長を睨む。それに怯えてひぃ!と漏れそうな声を抑え、
「そ、そうでございます〜。な、何があったのでしょうか〜?」
「飯が遅いんだよ!タラタラしてんじゃねぇよ!」
「す、すみません!もうしばらくお待ち下さいませぇ!」
金髪の男は店長の襟を掴む
「おい、いつまで待たせんだよ?」
「ひ、ひぃ…!ご、ごめんなさい…!」
今にも殴りかかろうとしている金髪の男をニット帽の男が
「まあ、待てよ。何もそこまでする必要はねぇだろ。」
と諭し、金髪スカジャンの男は手を離した。
「だが、こいつの言ってることも合ってんだよ。俺達はいつまで待てばいいんだ?おい」
ニット帽の男は店長を睨む。
「あ、あと5分ほどお時間を頂ければ…!」
「おっせぇなぁ!?今まで何してたんだぁ!?」
とグラサン男は叫ぶ。
「3分で持って来い…出来なきゃ、わかるだろ?」
ニット帽の男は立ち上がり、店長に詰め寄る。
「ひ、ひぃ!絶対に3分で持って来ますぅ!」
◇◆◇◆◇◆
「絶対に3分で作れ!」
厨房に戻ってきた店長は従業員全員に指示する。
鬼ヶ島も手伝おうとするも、店長に止められる。
「お前は何も出来ないだろ!足引っ張るだけなんだから、皿用意して!」
「は、はい。すみません。」
「もう、謝ればいいと思ってるんだから…」
鬼ヶ島が出した皿に次々に料理が盛られていく。
◇◆◇◆◇◆
「た、大変お待たせいたしました。お客様。こちらご注文の料理でございます。」
なんとか3分以内に用意し、テーブルまで運んだ店長。
「チッ、やっと来たか」
グラサン男はそう言って料理を口に運ぶ。
「…美味くねぇな…こんなに待ってこんなもん出してどういうつもりだ?」
店長は青ざめた顔で
「そ、そんな…た、大変申し上げございません!しかし…うっ!」
グラサン男は店長の腹を殴る。
「ゲホッゲホッ!」
店長は腹を抱え、倒れ込む。
「おい、ジジイ。こんな言葉を知ってるか?」
金髪男も来て、店長を囲んで
「「お"客"様は"神様"です」」
と言い放った。
◇◆◇◆◇◆
コツ…コツ…コツ…
「神様待たせておいてなんて物出しやがった?あぁ?」
コツ…コツ…コツ…
「おい、聞いてんのか?ジジイ」
コツ…コツ…コツ…
「神様だぞ?俺達は」
と言った途端、グラサン男は首を掴まれる
「…あ?誰だ…ブハッ!」
突然顔面を殴られたグラサン男は倒れ込む。
「あぁ!?てめぇ、何しやがる!?」
金髪男が殴った人の方を向くと、そこには鬼ヶ島が立っていた。
「お客様…さっき何とおっしゃいましたか…?」
「あぁ!?お客様は神様だって言ったんだよ!」
そう言い放つと鬼ヶ島はニヤリと笑って金髪男の腹を思いっきり殴る
「ぐはっ…!て、てめぇ…何しやがる…!」
「どうやら、礼儀作法を重んじるこの国と言えど、神様を守る法律は無いらしいなぁ!?」
「な、なにわけのわからねぇことを…グハァッ!」
まるで人が変わったような鬼ヶ島に顔面を殴られた金髪男は吹き飛ばされてテーブルに頭をぶつける。その時、座って見ていたニット帽の男が立ち上がり、鬼ヶ島の目の前に来て
「おい、あんちゃん…そりゃあやりすぎだぜ。見ろ。こりゃあ過剰防衛ってやつだ。」
鬼ヶ島はニット帽の男の方を見て
「だったらなんだ?先に手ぇ出したのはそっちだ」
…今にも殴り合いが起こる雰囲気。他の客はこちらを見ている者、怯えて隠れている者、動画を撮っている者…だが、彼等の存在は二人には関係ないようだ。
「おらぁ!!」
ニット帽の男は鬼ヶ島の先制パンチを避け、カウンターパンチをしようとするが…
「くっ…動かねぇ…!?」
片手で軽々とパンチを受け止めた鬼ヶ島は、そのまま手を掴んで投げ飛ばす。
「あぁぁ!?」
ニット帽の男は誰も居ないテーブルに叩きつけられ、テーブルが真っ二つに割れた。
「おい」
鬼ヶ島は再びニット帽の男の襟を掴む。
「かはっ…!て、てめぇ…顔覚えたからなぁ…!」
「今すぐお帰りになってくださいませ…代金は入りません。お"クレーマー"様は"神様"ですから。クソ野郎三名様。」
「てめぇの名は…何だ…」
そう言われた鬼ヶ島はニヤリと笑って
『鬼ヶ島桜牙。二度と来んな!』
書いててスカッとした〜
楽しんでいただけましたでしょうか。バイトのストレスが溜まってた方が少しでもストレスがなくなったら幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!他の作品も是非ご覧ください!ではまた、他の作品でお会いしましょう!