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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第67話 『 アマガミさんと膝枕 』

 ある日のお昼休み。


「ふあぁ」

「なんだボッチ。眠たそうだな」

「うん。少しね」


 つい大きな欠伸をかいてしまうと、アマガミさんが心配そうに僕を見つめてきた。

 それからアマガミさんはぐっと近づいて僕との距離を詰めると、じーっと顔を見つめて。


「目の下に隈ができてるじゃねえか」

「え、ほんと?」

「ほんとだ。なんだ。ゲームのしすぎか? 勉強のしすぎか? それともなんか悩み事か」


 アマガミさんが僕の両頬を挟みながら訊ねてくる。


「全部違うと思うろ」

「じゃあなんだ。疲れてるのか」


 僕はあはは、と苦笑いを浮かべながら頷く。


「そうかも。ちょっと最近忙しかったから」

「あー。そういや最近バイト始めたんだよな」

「うん」

「いつもの学級委員長の仕事に加えて、先週は図書委員の仕事もあったもんな。そしてあたしの相手まで」

「前半はともかく後半は僕が好きでやってることだからね」


 むしろアマガミさんと遊べていなかったら疲労で体調を崩していたかもしれない。僕の多忙な生活を支えているのは、アマガミさんとのこうした憩いの時間と言っても過言ではない。

 必死にそれを伝えると、アマガミさんは少しだけ照れて「今はそういうの要らねぇ」と僕の頬をさらに押しつぶした。


「お前はなんでそういっつも頑張りすぎるんだ。少しはサボれ」

「あはは。なんでだろうね。ついつい頑張っちゃうんだ。でもちゃんと休んではいるよ」


 そう言っても、アマガミさんは「いいや」と怒った顔をして首を横に振る。


「ボッチは休み足りてない! もっと休め、あたしみたいに」

「アマガミさんみたくサボり魔にはなれないかな」

「じゃあならなくていいから。とにかく休んでくれ。お前が元気じゃないとあたしが嫌なんだよ」

「……アマガミさん」


 不安に瞳を揺らすアマガミさん。僕の肩を掴む彼女の手にぎゅっと力が入り、それだけ心配されているのだと僕は気付かされる。


「分かった。それじゃあ、少し休むね」

「あぁ。休め。寝ろ。そんでいつもみたくあたしに元気な顔みせてくれ」


 これ以上アマガミさんに心配を掛ける訳にはいかない。休むことを優先した僕に、アマガミさんはほっと安堵の息を吐く。


「うし、それじゃああたしが寝かしてやる」

「――ぇ」


 アマガミさんはそう言うと、突然僕のことを無理矢理押し倒した。

 咄嗟のことに反応できなかった僕の頭に、柔らかい感触が伝う。


「硬い地面なんかで寝ても寝心地悪いだろうし、しょーがねーからあたしの膝貸してやる」

「あま……うげぇぇ」


 震える声音に視線を合わせようとすれば、「こっち見んな!」と無理矢理頭を押さえつけられた。

 僕は苦しさに呻きながら、


「……もしかしてだけど、僕いま、膝枕されてます?」

「そうだよっ。嫌ならコンクリに叩きつっけからな」

「嫌じゃない! ……嫌じゃない。これ、僕にとってはすごいご褒美だよ」


 アマガミさんの膝の上に頭を乗せるなんて、世界中どこを探しても許される人はいないんじゃないだろうか。それを、あろうことか僕が体験してしまっている。

 アマガミさんは僕の頬を押さえつけていた手を離すと、嬉しそうにはにかんだ。


「へへっ。ならいい。そのまま、あたしの膝で寝ろ。……言っとくけど、こんなことすんのボッチだけだからな?」

「もしかして頑張ったご褒美ってやつですかね」

「……そうだな。ずっと頑張ってるボッチに、あたしからのご褒美だ。ありがたく受け取れよ?」

「ありがた過ぎてこのまま永眠しそうです」

「その感想はきめぇ」


 すん、とアマガミさんの顔が真顔に戻った気がした。僕は苦笑しながらごめん、と謝りつつ、


「あ、やば。ほんとに眠くなってきたかも」

「いいよ、寝て。その為に膝貸してやってんだから」


 だんだんと、浅い微睡が僕を誘ってくる。

 できればもう少し、アマガミさんの膝の感触に浸っていたんだけどな。こんな機会、もう一度あるか分からないし。というか、これきりかもしれない。


 あぁ。嫌だな。


 でも、僕の意思とは裏腹に、睡魔は僕の意識を刈り取って。


「――すぅ。――すぅ」

「……やっと寝た。たくっ。お前って奴は本当に強情なんだから」


 遠くなって意識の中で、くすっと失笑が聞こえた気がした。

「しかしあれだな。こうやってボッチの寝顔見るのは初めてだな。ははっ。寝顔ちょー可愛い。この顔はあたしだけの特権だなぁ」


 子どもをあやす母親のように、彼女は僕の頭を愛し気に撫でる。


「お前があたしを甘やかすんなら、あたしだってお前のこと甘やかすんだからな。あたしは誰かに借り作んの嫌いなんだ。お前がくれたものは、いつか全部、きっちり返してやるからな」


 優しい声音と慈愛に満ちた瞳が、そう語り掛ける。

 僕はそれを何も覚えてなければ知るはずもなく。けれどただ一つだけ、彼女の温もりだけがひどく心地よかったことだけは、遠のいていく意識の中でも鮮明に覚えていた。


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[気になる点] 厨二恋でもそーやったけど負けヒロインて見ると悲しくなるよね
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