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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第65話 『 友達以上恋人未満 』

 食後。

 ソファーでくつろぐアマガミさんの隣に座ると、彼女はやっぱり距離を詰めてきた。


「約束したよな。メシ食った後も、くっつくって」

「は、はい」


 すこし頬を朱くしながら確認してきたアマガミさんに、僕も顔を赤くして首肯する。

 そのままお互い無言でしばらく過ごしていると、不意に互いの手と手の甲が触れた。

 反射的に手を引っ込めると、それを追うようにアマガミさんの手が触れてきた。

 そして、


「ボッチ。逃げるな」

「――――」


 顔を赤くしている彼女は僕を見ない。けれど、決して逃がすことはしない。

 あぁやっぱり、と僕は胸裏で嘆息する。

 さっきのは事故ではなく意図的だったようで、どうやらアマガミさんは僕と手を握りたいらしい。


「いいの?」


 そこから先は踏み込んではいけない領域な気がして、僕は依然として顔を背け続けるアマガミさんに問いかけた。

 その問いに、アマガミさんは問いで返してくる。


「ボッチは嫌か?」

「嫌とか好きとかの問題じゃなくて。ここから先は、友達っていう関係があやふやになっちゃう気がするんだ」

「友達同士だって普通に手くらい繋ぐだろ」


 それは小学生までだと思う。それに、男同士で手を繋ぐことなんてほとんどない。

 異性となら、それはもう恋人関係の者同士がするものではないだろうか。男女の友達で手を繋ぐなんて、創作の世界くらいしか僕は知らない。

 僕の忠告に、アマガミさんは耳まで真っ赤にした顔をようやく振り向かせて言った。


「あたしは、ボッチともっと仲良くなりたい。そうじゃなきゃ、お前があたしから離れていっちゃいそうで……それが、すげぇやだ」

「心配しなくても、僕はアマガミさんから離れないよ」

「口ではなんとでも言えるだろ。あたしは、証明してくれないと嫌なんだ」


 驚きと同時、彼女の憂いを帯びた瞳に息を飲む。

 こんなに弱い姿のアマガミさんは、初めて見た。

 どうしてそれほどまでに彼女が不安を抱いているのか。それは分からない。でも、そんな不安げな顔を見てしまってはどうにかせずにはいられない。

 気づけば、僕の身体は勝手に動いていた。


「――ぁ」


 アマガミさんのうめき声が洩れる。

 僕は、目を見開く彼女の手をぎゅっと握りながら、


「これで証明できるかな。僕は、アマガミさんから離れないって」


 強く、けれど優しく白く細い手を握りしめる。

 僕の想いに呼応したのか、アマガミさんは見開いた目を愛し気に細めたあと、ゆっくりと僕の手を握り返してきた。


「へへ。あぁ。ちゃんと証明になった。ボッチはあたしから離れない。あたしも、ボッチから離れないからな」


 握り返してくれたこの手の温もりが、その言葉の何よりの証明。

 嬉しそうに微笑むアマガミさんを見て、僕も思わず口許を綻ばせる。


「なぁボッチ。もうしばらくこのままでいさせて」

「いいよ。アマガミさんの気が済むまで、ずっとこうしててあげる」


 少なくとも、僕から彼女の手を離すことは決してない。その想いを吐露すれば、アマガミさんは照れながらも喜びを嚙みしめるように「へへ」と笑って。


「ならあたしが満足するまで、ずっと手繋いでてくれ」

「うん。絶対に離さないからね」


 それからは、どれくらいアマガミさんと手を繋いでいただろうか。

 触れ合う手の温もりが心地よくて、お互い無言のまま、ただ相手の手の温もりを堪能していた。

 僕たちは、ただの友達。

 けれどその距離は、握り合う手をきっかけに急速に縮まり始めた――。


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