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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第57話 『 アマガミさんと運命の赤い糸? 』

「いただきます」


 弁当箱に向かって手を合わせると、眼前の白縫が意外とでも言いたげな顔をしていた。


「天刈さんて礼儀正しいんだね。てっきり不良って何も言わず食べ始めるものとばかり思ってた」

「不良=生活までやさぐれてると思ってんじゃねえ。あたしだって食べる時は挨拶するくらいする。それに、これはボッチがあたしの為に作ってくれた弁当だ。なおさら感謝して食べねぇと」

「ふふっ。天刈さん。本当にボッチくんのこと好きなんだね」

「す、好きとかじゃねえし。人として当たり前のことやってるまでだ。しのニヤ面止めろ!」


 白縫の言葉に反射的に顔を赤くしてしまえば、そんなあたしを見て白縫はニヤニヤと不快な笑みを浮かべた。チッ⁉ なんつームカつく顔だ⁉ 

 コイツに構うだけ時間の無駄だと気付いて、あたしは重いため息を吐いた後ようやく弁当を食べ始める。


「ねぇねぇ。質問してもいいかな、天刈さん」

「んだよ」


 唐突に白縫の質問タイムが始まった。あたしはそれにぶっきらぼうに返していく。


「天刈さんの好物ってなに?」

「ボッチの作ったメシ」

「わーお幅広い。じゃあ、その中でも特に好きなのは?」

「特にって聞かれてもな。アイツの作るものはほんとに全部美味いし……まぁでも、強いて挙げるなら肉じゃがかな。繊細な味付けでうめえんだよこいつが」

「ふむふむ。肉じゃがね」

「あ? なに脳内メモしてんだ?」

「え。だって今度作ってくるから」

「なんでだよっ」

「そんなの天刈さんに食べて欲しいからに決まってるでしょ……きゃっ」

「きゃっ、じゃねえ! そういうのは好きな男にやれっ」

「好きな男の子がいないから好きな女の子に食べて欲しいと思ってるんだよ」

「言っとくけどあたしにそっちの趣味はねえからな⁉」


 なんだこの女ヤバ過ぎだろ。まさかのそっち系かよ。

 思いっ切り引くあたしに、白縫が心外だと頬を膨らませた。


「むむっ。何か勘違いしているみたいだけど、わたし百合じゃないからね。普通に恋愛対象は男子……でも天刈さんはと・く・べ・つ」

「嬉しくねえ特別だな⁉ ホント何なんだお前⁉ 一回助けただけであたしのこと好きになり過ぎだろ⁉」

「失礼ね! たかが一回、されど一回よ!  私にはあの時、天刈さんが白馬に乗った王子に見えたわっ」

「こんな不良な王子がいるか⁉ 姫みてぇな見た目してんだから、さっさと運命の赤い糸で結ばれた王子探しに行けや!」

「あらやだ。わたしの小指から赤い糸が見える……あ、なんてこと! すぐ目の前に同じく赤い糸で結ばれた人が! これはもう運命ね!」

「ハサミ! 誰かハサミ持ってこい! すぐに断ち切ってやる!」


 疲れる! この女の相手すんの想像以上に疲れる!

 こうして思い返すとボッチってまともな奴だったんだと思えてくる。いや、アイツもしつこかったんだけどさ。

 でもコイツよりは百倍マシだ。


「はぁぁ。早くボッチに会いてえ」

「むぅ。今天刈さんとご飯食べてるのは私だよ」

「嫉妬すんな。誰のせいとは言わねえけど、ストレスで胃に穴が空きそうだからボッチに会ってHP回復したいんだよ」

「それは大変。そのHP回復? っていうのはよく分からないけど、でも私にもそれができるならボッチくんの代わりにやってあげる!」

「むしろ逆効果だ」

「どういうこと⁉」


 コイツ、自分が相手にどう思われてるのか気にしないタイプだな。

 そこはあたしと似てるけど、けど根っこの部分が圧倒的に違う。

 だからこんなにムカつくのに、でも心の底からコイツを憎むことはできない。

 そこはボッチと似てる気がする。


「なんだよくそ。類は友を呼ぶってか」


 似てるようで似てないあたしら。でも、こうして何の因果か引かれあうらしい。


「何か言った、天刈さん?」

「なんんでもねえよ。あ、お前口許にソース付いてんじゃねえか」

「え」

「動くな。取ってやるから。たくっ。シャツに着いてシミになったらどうすんだ」

「きゅーん! ……好き」


 白縫の目が胡乱気になる。なんでこれだけでときめくんだよ、というツッコみはもう疲れたのでため息と共に吐き出した。

 あたしは白縫の口許についたソースを指で拭ったあと、不意にハッとなって思い返す。

 ――今のおっせかい。ちょっとボッチみたいだった、と。

 もしこれがボッチと長く一緒にいたことで感染うつってしまったものなら、それはあたしにとっては悪くないもの――いや、思いのほか想像以上に嬉しいもので。


「へへっ。なんだ。あたしもボッチと似てるじゃん」


 ついニヤけてしまうくらいには、ボッチに近づけたことが嬉しかった。

 そんなあたしを、白縫は不思議そうに小首を傾げてみてくる。


「どうしたの天刈さん。急に笑い出して。あっ、もしかして口では誤魔化しつつも、本心ではそんなに私と一緒に食べるのが嬉しかった⁉」

「お前ボッチより思考ポジティブだな⁉ そんなわけねえだろさっさと食え! あたしは食ったら寝る!」

「えー。そんな悲しいこと言わないで、食べ終わったらお話しようよ。私、もっと天刈さんと仲良くなりたいの!」

「あたしは勘弁だ。食ったらとっとと席に戻りな」

「そういう釣れない態度も素敵。きゃっ」

「ああもう! あたしが何言っても無駄じゃねえか⁉ 誰かコイツ引き取ってくれ⁉」


 こうして、あたしはまたも厄介な奴に懐かれてしまった。

 そしてあたしはまだ知らない。

 ボッチと、白縫と過ごしていくうちに、いつのまにか多くの友達に囲まれていくことを。まだ自分のことを一匹狼だと思っていたあたしは、そんな未来が来るわけがないとずっと思っていた――。

みんなー。2話更新するなら日曜日と月曜日どっちがいい~?

コメントして教えてくれると有難いでござるぅぅ。

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