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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第54話 『 アマガミさんと白縫萌佳さん 』

 ――昼休み。


「天刈さん。私と一緒にお昼食べてくれませんか⁉」


 席を立とうとしたアマガミさんを引き留めたのは、お弁当袋を持つ白縫さんだった。

 食い気味に誘う白縫さんに、アマガミさんは心底嫌そうに顔をしかめて、


「ボッチと食うから無理」

「なら今日は三人で食べましょ!」

「ホントッに退かねえなお前⁉ 少しは遠慮ってもんを覚えろ!」

「だって天刈さんと仲良くなりたいんだもん。きゃっ」

「きゃっじゃねえ! 距離の詰め方エグ過ぎなんだよ!」


 あのアマガミさんが珍しく狼狽してる。いや、僕と一緒に居る時はけっこう狼狽えること多いか。

 僕は眼前の異様な光景に呆気取られつつ、二人のやり取りを眺める。


「なんで学級委員長長二人に絡まれないといけないんだ」

「もしかして迷惑だった?」

「ボッチは特別だ。だからそんな悲しそうな顔するなぁ」


 しゅんと落ち込むと、アマガミさんが必死に僕を励まそうとする。

 よしよしとアマガミさんに頭を撫でられている僕を見て、白縫さんは羨ましそうに指を咥えていた。


「いいなぁ。ボッチくんは天刈さんに気に入られてて」

「ふっふーん。そうでしょ。僕はアマガミさんのお気に入りなんだ」


 これもしつこく絡んだ成果というものだ。あまり賞賛すべきことではないけど。

 なんとなく後ろめたくて顔を背けていると、白縫さんがアマガミさんに再度懇願していた。


「お願い! 一回だけでいいから! 私に免じて!」

「なんでお前に免じて一緒に昼飯なんざ食わなきゃいけないんだ。そもそも、あたしと関わって平気なのかよ」


 わずかに声音に険をはらませるアマガミさん。それに白縫さんは一切怖気づくことなく目を瞬かせると、


「もちろん!」 


 躊躇うことなく頷いた。


「天刈さんが悪い人じゃないってことは、既にボッチくんといるところを観ててなんとなく分かってるから。本当は前から話してみたかったんだけど、でもなかなかタイミングがなくて」

「あたしなんかと何話すんだ」


 ハッとアマガミさんが嘲笑する。白縫さんはぐっと顔を近づけると、


「じゃあボッチくんとはどこまで進んだのか聞いていい⁉」

「ぶふっ⁉ どこまでも進んでねえよ! 何変な勘違いしてんだ⁉」

「え⁉ 二人って付き合ってないの⁉」


 驚愕の事実を知らされたみたいなリアクションを取る白縫さんに、僕とアマガミさんは声を揃えて答えた。


「「僕ら(あたしら)はただの友達」」


 まぁ、ただの友達といえばそれ以上ではあるけど。ちらっと隣を見るとどうやらアマガミさんも自分の答えに疑問を感じているらしく、眉間に皺を寄せていた。


「そうなんだ。てっきりずっと教室でイチャイチャしてるからもう付き合ってるんだと思ってた」

「いちゃっ……仲いいのは認めっけど、べつにこれくらい普通だろ」

「「(それはない!)」


 それはない、とクラスの皆から総ツッコミを受けた気がするのは気のせいだろうか。

 それはともかく照れながら答えたアマガミさんに、白縫さんは「そっか」と顎に一指し指を当てながら、


「つまり二人は仲がとってもいい友達なだけなんだ」

「「そう」」

「なら一緒にお昼食べても問題ないね!」

「なんでそうなった⁉」

「付き合ってるなら二人の邪魔しちゃ悪いなーって思うけど、でも友達なんでしょ。なら私もその輪に加えて……」

「それはダメだ」


 白縫さんの言い分を遮るようにして強く否定したアマガミさん。それに驚くと、不意に腕をぐいっと引っ張られた。

 え、と驚く僕。そんな僕の腕をアマガミさんはガッシリ掴みながら、白縫さんを睨んで言った。


「あたしはボッチしか信用してねぇし、信用もしねぇ。ボッチ以外と仲良くなる気もねぇ。それになにより、ボッチは誰にも渡さねぇからな」

「アマガミさん」


 もしかして、僕が白縫さんに取られると思ってる?

 もしそうだとしたら、それは彼女の勘違いだ。何故なら僕は――、


「アマガミさん」

「なんだよ」

「僕はアマガミさん以外のものになる気はないよ?」

「~~~~っ⁉」


 アマガミさんの勘違いを解くべく本音を吐露した瞬間、アマガミさんはおろか、白縫さん、さらにはクラスの女子の顔が一斉に真っ赤に染まり上がり、黄色い歓声が上がった。


「お、おおおおまっ。何言って……」

「? なんでそんな驚いてるのさ。僕は本心を告げたまでだよ?」


 アマガミさんだって僕と同じことを萌佳さんに言ってなかったっけ。


「くぁぁぁぁ。もうっ。ほんとお前ってやつは。無自覚でこっちが勘違いするような発言ばっかしやがるんだ」

「ご、ごめんね?」

「謝るな。それが嫌なんて一言も言ってないだろ。むしろ、その……嬉しいから」

「えへへ。ならよかった」


 ほっと安堵する僕を見て、アマガミさんは「……ばか」と顔を赤くしながら小さく呟く。

 そしていつの間にか二人の世界に入ってしまっていた僕とアマガミさんに、すっかり蚊帳の外状態と化していた白縫さんはというと、


「……もう二人ともぞっこんじゃん」

「「それな」」


 白縫さんの呟きに、教室にいたクラスメイト全員が首を縦に振るのだった。


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