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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第52話 『 ある日のバスケで 』

「委員長そっちボールいったぞー」

「任せて! ……ふぎゃっ」

「ははっ。顔面キャッチとかやるなぁボッチ」

「「ナイス顔面キャッチー。ぎゃはは!」」


 本日の体育の授業はバスケットボール。ということで今は男女別にミニゲームが行われていた。

あたしは体育館の隅っこでサボりながら、ボッチの試合を眺めていた。


「運動苦手なのに一生懸命なところもいいな」


 ボッチは運動が得意じゃない。さっきみたく顔面でボールをキャッチすることが多々ある。それでもめげずに食らいつく姿が、あたしはすごく気に入ってる。


「おっ、そのままシュート行けっ。……あこけた」


 途中まではいい動きだったのに、相手のブロックを避けようとした瞬間足がもつれて盛大に転んだ。


「あははっ。ほんと、何やってんだアイツ」


 やっぱボッチはあたしを飽きさせねぇ。観てるだけで面白いとか最高かよ。

 そうしてボッチの試合を楽しく歓声していると、


「……天刈さん。次、試合だよ」

「んあ。そうか」


 露骨にビビりながらあたしに声を掛けてきたクラスメイト。それに適当に応じると、逃げるように戻っていきやがった。


「あー。相変わらずムカつく空気」


 立ち上がったあたしに女子どもの視線が一斉に向けられる。ただ歩くだけで恐怖されるとかあたしは巨人っかつーの。

 試合なんてサボってもいいけど、そうすると後でボッチに叱られかねない。いや、というより悲しい顔でサボった理由を聞かれる。それが嫌だから仕方なく授業に参加してるけど、周囲はあたしのことを避けて嫌って疎んでいるから不快で仕方がない。


「適当に終わらせるか」


 同じチームと少し距離を取りながら整列すると、ゲームが始まる笛の音が鳴った。

 あたしはできるだけ邪魔にならないようにコートの中を動く。つか、そもそもあたしはチームにいないも同然と扱われているので、ボールが回ってくるなんてことはなかった。

 あー。マジで最悪。 

 イライラが募ると早くボッチに会いたくて仕方がなくなる。声が聞きてー。頭なでなでしたり、意味もなく揶揄いてぇ。……あれだな。ボッチはあたしのストレス解消装置だな。

 ひたすらボッチのことを頭に思い浮かべながら適当にコートを往復すること五分間。やっとあたしのチームの試合が終わった。

 そして当然のように仲間外れにされる。こういうのは慣れてるけど、やっぱムカつくものはムカつくな。

 これはボッチと会話するだけじゃストレスがなくなりそうになさそうだな。一緒に帰るくらいはしないと解消しそうにない――とボッチに何するか悩んでいると、ふと視界に高く飛ぶボールを捉えた。


「――え?」


 たぶんインターバル中に反対側のコートにいる連中が遊びでこっちのバスケットゴールに入れられるか試していたんだろう。弧を描きながら飛ぶボールは、ゴールから大きく外れて一人の女子に当たろうとしていた。


「あぶねえ!」


 気づけば体が動いていて、咄嗟にその女子を庇っていた。

 黒髪女子とぶつかる直前でどうにかボールをキャッチできたあたしは、ほっと安堵の息を吐く。


「怪我は?」

「……な、ないです」

「ならいい」


 ぎこちなく答える女子にあたしは頷きつつ、バッと反対側のコートに振り返る。


「おい! お前ら! 遊ぶのはいいけどもう少し周りの目気にして遊べ! てめぇらの不注意で人が怪我したらどうすんだ!」

「ひいぃぃ⁉ すいません!」

「――っ。分かればいい」


 顔面を青白くして謝罪する女子ども。謝るならあたしにじゃなくてコイツだろ。


「お前も、コートにいるならもう少し注意して動け。分かったか?」

「は、はい」


 呆けてるけど本当にあたしの話聞いてんのかね。

 ま、怪我してねぇならそれでいいけど。


「じゃ、試合頑張れよ」


 そう言って立ち去ろうとすれば、助けたソイツに「天刈さん!」と呼び止められた。


「あ、あの……助けてくれてありがとう」

「気にすんな。たまたま助けられる位置にいただけだから」


 ひらひらと手を振って再び歩き出すあたし。その背中を助けた少女が見つめていたことにあたしは気付くことはなく。


「……カッコいい」


 そんな羨望をはらんだ乙女の声音が、後にあんなことになるとはあたしは想像もしていなかった。


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